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2020.3.12 Thu

新しい勢力圏と大国間競争
――  中ロとの関係と同盟の再編

中国とロシアは自国の利益や価値のために、欧米の利益を無視して、公然とパワーを行使するようになり、ワシントンも、地政学が「大国間競争」によって規定されていることを認識している。今後、アメリカの役割は変化するだけでなく、小さくなっていく。すでに世界には複数の勢力圏が存在することをリアリティとして受け入れ、「実現不可能な野望」は放棄し、勢力圏が地政学を規定する中核要因であり続けると言う事実を受け入れる必要がある。(アリソン)

未来の歴史家は、21世紀初めにワシントンが超大国間の競争に焦点を合わせるようになったことを、もっとも重要な帰結を伴ったストーリーとして解釈することになるはずだ。かつて同様に、アメリカが安全保障を確保し、自由社会としての繁栄を実現していくには、アジアとヨーロッパというもっとも重要な地域で好ましいパワーバランスを確保し、アメリカの社会と経済そして同盟国を、パワフルなライバルとの長期的競争に備えさせる必要がある。(コルビー、ミッチェル)

今日の国際情勢は概して先が見通せず、課題も多い。しかし、21世紀の緊張した大国間関係を新たな冷戦と呼ぶことで、その本質は明らかになるよりも、むしろわかりにくくなる。冷戦の名残はまだ残されているが、国際政治を形作る要因と行動原理はすでに変化している。アメリカの影響力は次第に低下し、一方で、中国の影響力が高まっている。ヨーロッパは停滞し、ロシアは、現在の秩序の周辺に追いやられたことを根にもつハゲタカと化している。そこにトレンドがあるとすれば、それは、いまやあらゆる大国が、イデオロギーではなく、自国のアイデンティティーと利益を重視する路線をとっていることだろう。(ウェスタッド)

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