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2020.3.13 Fri

パンデミックの社会・経済コスト
―― 人畜共通感染症の脅威

いつどこで感染症が起きるかを予見するのは不可能だとしても、現実にはその頻度と危険を抑え込むことはできる。実際、野生動物市場は、インフルエンザその他の新興感染症を作り出す脅威の主要な発生源であり、SARSも現在のコロナウイルスのアウトブレイクにもこうした取引が密接に関わっている。パンデミックは社会と経済の健康も蝕んでいく。これをたんなる人体への脅威とだけ捉えているようでは、(アウトブレイクを前にした)パニック、緊急対応、そして(根本問題の)放置という、効率に欠け、財政的にも持続不能なサイクルを永続化させることになる。(マッカラバ、カレシュ)

現代医学によって明らかになっている1415の感染症の60%以上が動物と人間双方への感染力を持っている。鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)などを含むこれらの人畜共通感染症のほとんどは、本来動物の病気であったものが生物種の壁を越えて人間に感染するようになったものだ。病気は生物種や学問領域の垣根を越えて発生するという真実を認識し、それに応じた対応メカニズムを構築しない限り、人類は存亡の危機に立たされることになる。(カレシュ、クック)

イタリアの公衆衛生当局は、北部で数週間にわたって感染が大きな広がりをみせていることに最近になって気づき、その後、対応に追われている。アメリカでも、水面下での感染拡大はすでに進行していると考えられる。公衆衛生担当省は、病院における集中治療の需要が急激に高まることを想定した対応計画を考案すべきだし、国と地方の当局は、アウトブレイクが起きた地域での社会的隔離策をとることに備える必要がある。社会的隔離に関する社会の応諾と支持を維持していくには、その計画の目的と詳細、なぜそれが必要かについて適切に社会との意思疎通をはかっていく必要がある。(コーリング)

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