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2018.9.13 Thu
何がプーチンの対外戦略を動かしているか?
―― サイバー攻撃、国内政治、対米関係
もしアメリカとの関係が悪化すれば、ロシアはウクライナで学んだ教訓を生かした対米サーバー攻撃を決意するかもしれない。トランプがプーチンと築いた親密な関係に評価すべき点があるとすれば、アメリカが電力網をはじめとする重要インフラをロシアのサイバー攻撃から保護するための貴重な時間を稼いだことだ。この時間を浪費してはならない。(ネイク)
欧米の主要国はモスクワとの対立を、サイバー戦争、選挙介入、NATOの統合性など自らにとって重大な問題に限定すべきだろう。見せかけの強さを誇示して、ロシアを抑止しようと試みるべきではない。ロシアの政治家たちにとって、欧米の要求に屈すれば、国内で重大な代償を払うことになる。要求に譲歩するとすれば、それは最後の手段だ。(キメージ)
アメリカ人は、外交上の問題があれば、それを是正しようと、(故障を直そうとする)エンジニアのような動きをみせる傾向がある。だがこのメンタリティはプーチンのロシアには通用しなかったし、同じことをしても、失敗を繰り返すだけだ。未来の政権は、前任者たちよりも、もっとうまくロシアの民主化を促し、欧米に統合していかなければならない。これまでの政治家とその決定が現在の対立状況を作り出している。これまでとは違う決定を下す、新しい政治家なら、この状況を終わらせることができるだろう。(マクフォール)
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サイバー攻撃から米インフラを守るには
―― ロシアのサイバー攻撃に備えよ2018年9月号 ロバート・ネイク 米外交問題評議会 シニアフェロー(サイバー政策担当)
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プーチンを育んだロシア的価値
―― ロシア文化に配慮した外交アプローチを2018年9月号 マイケル・キメージ アメリカ・カトリック大学教授(歴史学)
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米ロ関係の真実
―― 何も期待できない理由2018年8月号 マイケル・マクフォール スタンフォード大学 フリーマン・スポグリ国際研究所 ディレクター
2018年9月号レビュー
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米中貿易戦争の安全保障リスク
―― 対立は中国をどこへ向かわせるかごく最近まで米中の経済的つながりは、戦略的な不信感がエスカレートしていくのを抑える効果的なブレーキの役目を果たしてきたが、世界経済を不安定化させるような全面的な貿易戦争になるリスクを警戒するほどに状況は悪化している。北京がアメリカとの経済関係に見切りをつければ、国際システムに背を向け、明確にイラン、ロシア、北朝鮮との関係を強化し、アメリカと同盟諸国の関係に楔を打ち込もうとすると考えられるからだ。
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中国の未来と韓国の現在
―― なぜ政治的自由化が必然なのか中国は政治的自由化をせずに、経済成長を持続し、社会を満足させられるだろうか。韓国の経験はそうはならないことを示している。朴が最終的に直面したように、経済を自由化すれば、権威主義の指導者でさえ押さえ込めないような流れが作り出される。
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日本の新しい防衛戦略
―― 前方防衛から「積極的拒否戦略」へのシフトを日本本土が攻撃されても、日米の部隊は中国の攻撃を間違いなく押し返すことができる。しかし、中国軍が(尖閣諸島を含む東シナ海の)沖合の島に深刻な軍事問題を作り出す能力をもっているだけに、東京は事態を警戒している。実際、中国軍との東シナ海における衝突は瞬く間にエスカレートしていく危険がある。