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2018.7.5 Thu

歴史の未来
―― リアリスト・ワールド、リベラル・ワールド

現在の世界では、経済成長、社会的変化、リベラルで民主的なイデオロギーの間には依然として密接な関連がある。リベラルな民主主義に対抗できるような説得力を持つイデオロギーは今のところ見あたらない。しかし、現在の厄介な経済、社会トレンズが今後も続くようなら、リベラルな民主的社会の安定も、リベラルな民主主義の優位も損なわれていくだろう。技術的進化とグローバル化が中産階級の基盤を蝕み、先進国社会の中産階級の規模が少数派を下回るレベルへと小さくなっていけば、民主主義の未来はどうなるだろうか。(フクヤマ)

現在の地政学構造は、一つの重要な例外を別にすれば、1970年代、あるいは、1920年代のそれと比べてさえ、それほどかけ離れてはいない。・・・インド、トルコ、イランの動きを別にすれば、過去と現在のもっとも大きな違いは、アジアのパワーバランスの鍵を握るプレイヤーとして中国が日本に取って代わったことだ。しかし、この2世代の間に中国が達成した成果は、リベラルな覇権国としてアメリカが主導した経済的開放性(各国の市場自由化)と(経済と貿易の流れをスムーズにした)グローバルな安全保障への貢献なしでは決して実現しなかったはずだ。(コトキン)

最近における、非自由主義的な思想そして指導者の台頭は間違いなく厄介な問題だが、・・・安全と繁栄に向けて各国が協調するという近代のリベラルなビジョンは、これまで同様に現在もきわめて重要だ。歴史の流れのなかで、リベラルな民主主義が追い込まれる局面は過去にもあったが、最終的に再生を遂げ、前進してきた。そうできたのは、その基本価値が多くの人にアピールし、近代性とグローバル化に派生する問題にうまく対処できるユニークな力をもっていたからだ。(デュードニー、アイケンベリー)

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