Focal Points

a katz / Shutterstock.com

2018.6.27 Wed

最低賃金の真実
――  雇用破壊効果も格差是正効果も小さい

各国の政策決定者たちや、かつて最低賃金の導入に批判的だった、国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)も、それが適正なレベルであれば、最低賃金をうまく考案された労働政策の一部として位置づけるべきだと提言している。だが妥当なレベルをどのように決められるだろうか。穏当なレベルの引き上げなら、最低賃金レベルの就労者の所得は増える。だが、過度に最低賃金を引き上げれば、雇用は少なくなっていく。仮にシングルマザーがまともな生活を送るには20ドルの時給が必要だとされ、それが実現しても、かなりの確率で失業率は上昇する。さらに、最低賃金を引き上げても、その効果は平均的労働者に近づいていくにつれてほとんどなくなっていく。(マニング)

政策決定の視点でみれば、もっとも重要なのは、超富裕層所得のどの程度が、経済に広く恩恵をもたらす技術革などの経済活動によるものかという点にある。その多くが経済に広く恩恵をもたらす経済活動によるものなら、超富裕層への課税率を引き上げることの経済コストは大きくなる。対照的に、超富裕層の所得増が、頻繁な株式市場での取引など、経済に広範な利益をもたらさない活動によるものなら、彼らへの課税が大きな経済コストを伴うことはない。いずれにせよ、例えば、公共サービスやインフラ投資の資金調達のために、超富裕層への課税率を引き上げる真っ当な理由はあると考えられる。(カーニー)

人々がそこに格差があると痛感するのは、異なるルールが別の集団に適用されていると感じているときだ。彼らはダブルスタンダード、そして自分たちに有利なようにゲームを操作し、管理する人々に対して強い憤りを示す。こうした感情は社会的不信を高め、これによって、福祉国家の正統性も損なわれる。課税に対する嫌悪感が蔓延し、誰もが自己利益を重視した行動をとるようになり、最終的にパブリックマインドが損なわれる。(ロザンヴァロン )

論文データベース

カスタマーサービス

平日10:00〜17:00

  • FAX03-5815-7153
  • general@foreignaffairsj.co.jp

Page Top