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Republic of Korea / flickr

2018.5.17 Thu

米朝間の立場の違いと韓国の立場
―― 南北首脳会談と非核化に向けた今後の課題

アメリカは「非核化が先で見返りは後」という立場なのに対し、北朝鮮は非核化の(部分的)履行と見返りを繰り返す段階的なアプローチを求めている。重大なポイントは、北朝鮮が、核関連施設や核物質、爆弾を検証可能かつ不可逆的な方法で廃棄する意思をもっているかどうかだ。実際、北朝鮮は過去には、約束を最後まで守ることなく恩恵だけを引き出してきた。トランプ政権は金正恩と非核化の詳細を詰める必要があり、それにはワシントンにとって望ましい包括的な一発解決と、平壌が主張する妥協と見返りをその都度繰り返していく段階的なアプローチとの間での歩み寄りが必要になるだろう。(文)

「制裁と軍事的恫喝を前にすれば、金正恩は、核開発プログラムはむしろ体制の崩壊につながると認識するようになる」とワシントンは期待するかもしれないが、一方で平壌は「トランプが大きな譲歩を求めることなく、首脳会談に前向きになったのは、アメリカもついに北朝鮮を核保有国として受け入れる準備をしているのではないか」と考えているかもしれない。認識上のギャップが交渉で明らかになれば、米朝関係にすでに埋め込まれているイメージ上の間違い(ミスパーセプション)によって、ともに望んでいない壊滅的事態が引き起こされる恐れがある。(ジャービス、フーパー)

平壌が韓国の外交チームにオファーした核・ミサイル実験の凍結はたんに現状を固定するだけの話で、(アメリカを)交渉に応じさせるための誘因にすぎない。交渉が終わった翌日から平壌は実験を再開できるし、その一方で核開発プログラムを交渉中も水面下で進めるだろう。最後に、北朝鮮が核保有国として認知を取り付け、韓国から米軍を締め出し、韓国へのアメリカの軍事コミットメントを形骸化させるという長期的な目的を見直したと信じる理由はない。・・・こうした交渉上の罠に対抗するには、トランプは、北朝鮮の核兵器およびICBMの開発プログラムの凍結と最終的な解体に向けて、エネルギー供給、経済援助、そして制裁の緩和措置を段階的に小出しにしていく必要がある。(チャ 、カッツ)

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