Focal Points

photo / wikipedia

2018.5.16 Wed

誰が本当のアメリカ人なのか
―― 移民と人種差別と政治的妄想

アメリカという国の顔が変わりつつあるのは否定しようがなかった。オバマほどその変化を象徴する存在はないし、トランプほど、こうした変化に対する反動を象徴する存在もなかった。また、かつて国家アイデンティティに派生する問題を封じ込めた政党政治が逆に問題を深刻にしている。ほとんどのアメリカ人は、政治によって公共政策をめぐる立場の違いは克服されると期待しているが、いまや二つの政党は民族問題を構造的に先鋭化させている。民主・共和両党は、「本物のアメリカ人とみなされるのは誰か」という非常に危険な問いを政治に繰り返し吹き込んでいる。(モローン)

アメリカの黒人たちは社会的・経済的前進を遂げてきたが、全体としてみれば、黒人の富は白人の富に比べて大きく見劣りしている。また、法律上の人種差別はなくなったが、事実上の人種差別はアメリカのかなりの地域で厳然と存在している。アメリカは黒人の大統領を2度にわたって選び、黒人のファーストファミリーを持ったが、その次の大統領選はある意味でその反動だった。人種間の問題を解決するためには、奴隷制そのものだけでなく、そのもっとも恒久的な遺産である白人至上主義を検証する必要がある。(ゴードン=リード)

テクノロジーと金融経済の進化は、東海岸や西海岸における都市の経済的・社会的バイタリティーを高めたが、製造業に支えられてきた南部と中西部にはみるべき恩恵はなかった。南部と中西部の経済が衰退して市民生活の空洞化が進んでいるのに、政治的関心がこの問題に向けられなかった。トランプはまさにこれらの地域の「成長から取り残された」人々に切り込み、支持を集めた。民主党か共和党のどちらか(または双方)が、貧しい白人労働者階級が直面する問題に対処する方法を見つけるまで、トランプ現象は続くだろう。(カーウィー)

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