
2018.11.30 Fri
<2018年12月号プレビュー>
中東に迫り来る巨大な嵐、民主国家で台頭する二つの権威主義、ほか
中東諸国は、石油の富を安定した雇用、教育、医療に充当し、政治指導者はその見返りに民衆の政治的服従を手に入れた。しかし、原油の低価格化トレンドゆえに、これまでの社会契約はもはや持続できない。指導者たちが有意義な改革を実施しなければ、中東各国で、かつてない規模の社会騒乱が起きることになる。(ムアシャー)
民主主義が劣化していくにつれて、権威主義化していく。特に、選挙で勝利を手にするためなら何でもする「選挙権威主義」体制、そして選挙後に支配者が法を無視して思うままの行動をとるようになる「非自由主義的民主主義」が主流になっていくだろう。(権力を思うままに行使して)非自由主義的民主主義を実践しているトランプも同様だ。・・・(スレーター)
専門家の多くは、米中核戦争はあり得ないと考えているが、そう思い込むのは考えものだ。最大の問題は、中国が通常戦力と核戦力を渾然一体として配備しているために、通常戦力だけを叩くのが難しいことにある。・・・北京が、アメリカの意図に関する解釈を大きく見直したときに大きな危険が待ち受けている。(タルマージ)
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中東に迫り来る巨大な嵐
―― 石油依存型政治システムの崩壊2018年12月号 マーワン・ムアシャー カーネギー国際平和財団副会長(研究担当)
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民主国家で台頭する二つの権威主義
―― 選挙権威主義と非自由主義的民主主義の脅2018年12月号 ダン・スレーター ミシガン大学教授
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米中核戦争は絵空事ではない
―― なぜエスカレーションリスクが高いのか2018年12月号 カイトリン・タルマージ 米ジョージタウン大学准教授(政治学)
2018年12月号プレビュー
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中東で進行するパワーバランスの再編
―― なぜトルコはイラン、ロシアに接近しているかエルドアンは自らのことを「現代のスルタン」とみなしているようだし、「トルコはイスラム世界をリードできる唯一の国だ」と明言している。そうだとすれば、サウジはアンカラの同盟国からライバルへと姿を変える。実際、カショギ殺害事件は、トルコとサウジ間の緊張の高まりを示す一連の流れのなかで起きた最近の事例にすぎない。
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トランプを台頭させた 白人有権者の文化的恐れ
―― グローバル化に対する反動という虚構貿易と移民に対する反発がトランプの台頭を支えたと考えるのは間違っているし、当然、「グローバル化に対する反動」という虚構に配慮するのも間違っている。・・・問題は、(人やモノの)グローバル化を、白人の少数派が「文化的な脅威」とみなしていることにある。国際主義者たちは彼らの立場に歩み寄るのではなく、むしろ闘いを挑む必要がある。
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カトリック教会の重大な危機
―― 宗教改革以来最大の危機とは何かカトリック教会は制度改革を切実に必要としていたタイミングで、政治的・神学的・地政学的な亀裂の拡大に直面し、いまや宗教改革以来最大の危機に直面している。聖職者による性的虐待が新たに明らかになり、世界に衝撃を与えている。・・・いまやカトリック教会は、進歩派と保守派の間で大きく割れている。