Focal Points

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

2016.11.14 Mon

欧米の政治危機とポピュリズムの台頭
―― 生活レベルの停滞と国家アンデンティティ危機

多くの人は最近の欧米におけるポピュリスト政党の台頭は「2008年の金融危機とそれに続くリセッションの余波」として説明できると考えている。だが現実には、この現象は、市民の要請に応える政府の対応能力が低下していることに派生している。右派ポピュリストは移民問題と国家アイデンティティの危機を問題にし、左派ポピュリストは「政府と企業の腐敗、拡大する経済格差、低下する社会的流動性、停滞する生活レベル」を問題にしている。右派が脅威を誇張しているのに対して、左派の現状認識は間違っていない。問題は右派も左派もその解決策を間違っていることだ。(モンク)


すでにギリシャ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、スロバキア、スイスの6カ国でポピュリスト政党が最大の議席数を確保している。フィンランド、リトアニア、ノルウェーの3カ国では、ポピュリスト政党が政権の一翼を担っている。大規模な難民流入やユーロ危機などで社会治安や経済の安定が脅かされたために、ポピュリズムの急激な台頭が刺激された部分があるのは事実だろう。しかし、ヨーロッパの社会と政治に構造的変化が起きていたことがポピュリズムを台頭させる素地を作り出していたことが見落とされがちだ。(ムッデ)

ヨーロッパでなぜポピュリズムが台頭しているのか。既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する有権者の幻滅もあるし、「自分たちの立場が無視されていると感じていること」への反動もある。難民危機といまも続くユーロ危機がポピュリズムを台頭させる上で大きな役割を果たしたのも事実だ。いまやフィンランド、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、スイスを含む、多くのヨーロッパ諸国で右派政党がすでに政権をとっている。(ブローニング)

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