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ポピュリズムを台頭させた欧州政治の構造的変化とは
―― 難民危機、経済危機はトリガーにすぎない

カス・ムッデ ジョージア大学准教授(国際関係論)

Europe’s Populist Surge

Cas Mudde オランダの政治学者で、現在はジョージア大学公共政策・国際関係大学院准教授。専門はヨーロッパにおける過激主義とポピュリズム。著書に、Populist radical right parties in Europe(Cambridge University Press)がある。

2016年11月号掲載論文

すでにギリシャ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、スロバキア、スイスの6カ国でポピュリスト政党が最大の議席数を確保している。フィンランド、リトアニア、ノルウェーの3カ国では、ポピュリスト政党が政権の一翼を担っている。大規模な難民流入やユーロ危機などで社会治安や経済の安定が脅かされたために、ポピュリズムの急激な台頭が刺激された部分があるのは事実だろう。しかし、ヨーロッパの社会と政治に構造的変化が起きていたことがポピュリズムを台頭させる素地を作り出していたことが見落とされがちだ。難民危機や経済危機はトリガーにすぎない。しかも、構造的変化が近い将来に覆される見込みがない以上、ポピュリズムが下火になっていくと考える理由はない。要するに、これまでの主流派政党が時代遅れの存在になるにつれて、ポピュリスト政党が台頭している。・・・

  • 欧州ポピュリズムのルーツ
  • 無垢な民衆VS.腐敗したエリート
  • 変化したヨーロッパの政治・社会環境
  • 左派・右派ポピュリストの違い
  • 主流派政党による巻き返しのチャンスはあるか

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