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2016.09.01 Thu

追い込まれた中国
―― 北京の穏健派を支えるには

仲裁裁判所は、南シナ海で中国が主張する領有権を全面的に退け、フィリピンの立場を支持した。しかしその結果、中国がこれまで以上に好戦的になれば、この勝利は多くの犠牲をもたらす割の合わないものになる。ワシントンとアジアのパートナー諸国が、危険な状況がさらに深刻化するのを回避するには、中国に対して裁定に従うよう促しつつも、もはや身動きできないのではなく、そこに中国にとって建設的な選択肢が存在することを示す必要がある。(ホッパー)

「中国の(南シナ海における)歴史的主張には法的根拠がない」とした国際仲裁裁判所の判断に北京が配慮する気配はなく、それが伴う国際的立場の失墜さえ気にしていないようだ。但し、北京の穏健派は、九段線を今後も「境界線」とみなし続ければ、「アメリカ、そして殆どの東南アジア諸国を敵に回すことになる」と事態を懸念している。(ウェイン)

海の憲法とも呼ばれる「国連海洋法条約」は、すでに太平洋におけるアメリカのパワーを左右する重要なバロメーターになっている。だが、米上院の主権至上主義者が条約への批准を拒んでいるために、アメリカは中国の台頭に揺れるアジアが切実に必要としている多国間構造をうまく構築できずにいる。アジアでのパワーバランスが大きな変化に直面している以上、これ以上アメリカが主権にこだわり続けるのは、戦略的な大失策になる。(ライト)

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