
2016.03.30 Wed
日本の新しいリアリズム
―― 安倍首相の戦略ビジョンを検証する
(4月10日発売号プレビュー)
日本の地域的役割の強化を目指し、民主国家との連携強化を試みるために、安全保障行動の制約の一部を取り払おうとする安倍首相の現実主義的な外交・安全保障路線は、北朝鮮と中国の脅威という地域環境からみても、正しい路線だ。(オースリン)
内戦を終結へ向かわせるのは難しく、決意に満ちた外部からの介入がなければ、内戦は数十年にわたって続く。アメリカの次期大統領は中東政策をめぐって非常に大きな選択に直面する。安定化のためにもっと踏み込んで関与するか、あるいは、さらに距離をとって離れていくかの決定を迫られる。(ポラック)
われわれは「コア・イスラム国」の指導者と、遠く離れた地域で活動するプロビンスの間で生じる緊張をうまく利用できる。適切な政策をとれば、アメリカとその同盟国は「プロビンス」と「コア・イスラム国」に大きなダメージを与え、相互利益に基づく彼らの関係を破壊的な関係へと変化させることができるだろう。(バイマン)
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日本の新しいリアリズム
―― 安倍首相の戦略ビジョンを検証する2016年4月号 マイケル・オースリン /アメリカン・エンタープライズ研究所 レジデントスカラー、日本研究ディレクター
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踏み込むべきか、後退すべきか
―― 中東におけるアメリカの選択2016年4月号 ケニス・M・ポラック/ ブルッキングス研究所シニアフェロー
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グローバル化したイスラム国
―― 増殖する関連組織の脅威2016年4月号
2016年 3月号から
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長期停滞にどう向き合うか
―― 金融政策の限界と財政政策の役割過剰な貯蓄が需要を抑え込み、経済成長率とインフレ率を低下させ、貯蓄と投資のインバランスが実質金利を抑え込んでいる。この数年にわたって先進国を悩ませている、こうした日本型の経済停滞が、今後、当面続くことになるかもしれない。だが、打開策はある。
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中国経済のメルトダウンは近い
―― 中国経済はまったく成長していない政府の赤字財政支出は、実際には間違いなくGDPの3%を超えている。つまり、中国の実体経済はおそらくまったく成長していないかもしれないし・・・いまや中国経済を動かしているのは政府支出だけだと考えてもおかしくない。
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ヨーロッパの価値を救うには
―― イスラム系難民とヨーロッパ的価値の危機大衆がイスラム教徒に懸念をもつ社会環境のなかで、パリでの同時多発テロ、そしてケルンでの女性を対象とする性的暴行・強奪事件が起き、これがヨーロッパの難民問題の決定的なゲームチェンジャーとなった。だがヨーロッパにとっての真の問題は、市民がヨーロッパのイスラム教徒をどうみなすべきか、「難民や移民」と「テロリストや犯罪者」の区別をどうつけるかについて、政治家たちがビジョンを示してこなかったことにある。