1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

― 迫り来る台湾危機に関する論文

北京の軍事計画は中台紛争へのアメリカの介入を前提としており、アメリカの航空母艦を沈める必要性も視野に入れている。台北政府の軍事計画でもアメリカの介入が前提とされている。アメリカがどう出るかわからないと考えているのは、実際にはワシントンだけである。(フリーマン)

中国だけに焦点を絞り、台湾に苦言を呈し、アジアのほかの国々を緩衝地域としか考えなくなってしまうときに、アメリカの政策は危険な状態に陥る。中国に焦点を絞った政策ではなく、広範囲にわたる汎アジア的政策こそ、成功への処方箋である。(ウォルドロン)

台湾は主権国家だ

1999年11月号

李 登輝/中華民国総統

「中国という国は、中華人民共和国が自らの存在を宣言した一九四九年に分裂している」。したがって、「台湾の動きが国の分裂を引き起こすことはあり得ず、台湾が独立宣言をすることに中国側が警告を発する必要などない」。そもそも中華民国は一九一二年の建国以来、主権を持つ独立国家だからである。海峡間関係は、いまや「特別な国家間関係」にほかならない。必要とされているのは、台湾は国ではなく、「反抗的な一省」にすぎないとする、中国がふりかざす「虚構」を捨て去り、民主国家としての台湾の「現実」を踏まえた、海峡を隔てた国と国の「平等な立場」に立つ話し合いである。そのためにも、国際コミュニティーと海外のメディアは、これまでの「虚構」に振り回されるのではなく、台湾の「現実」を直視すべきであろう。

台湾海峡紛争をいかに回避するか

1998年7月号

チャス・W・フリーマン 米中政策財団共同会長

二年半前、米中両国は、双方とも望まず、予期もしていなかった軍事的対立局面へと引きずり込まれた。しかし、一九九六年三月に起きた米空母と中国の戦艦および陸上配備ミサイルによるこのにらみ合いは、今にして思えば、有益な効果があったようである。両国はこの危機を通じて米中関係をうまく管理することがいかに大切で、この二国間関係の管理のための中核的要因が、いまなお台湾の地位であることを思い知らされたからである。
以来、米中政府は、一連の二国間問題や国際的問題に関する相互尊重に基づく対話チャンネルの確立にむけて努力してきた。首脳会談やその他の高官による会談が、再び米中外交の常態となり、その後、台湾海峡で軍事対立は起きていない。昨年秋、クリントンは江沢民と会談したさいに、中台間の対話ができるだけ早く再開されるようにと促し、対話決裂についての互いの非難合戦という三年間を経て、北京と台北は、どのようにして会談をもち、そこでどのような問題を取り上げるかについての具体的提案を最近になって交換しはじめた。
かえりみれば、九五年六月に李登輝総統が米国を訪問するまで、中台関係は、非公式の経済文化的交流や対話を通して、和解の方向へ向かいつつあった。海峡を挟んだ二つの勢力間には、なんらかの再統合策をつうじた「一つの中国」という理想およびその必要性についての合意が存在した。米国も支持していたこの合意は、平和と交渉しやすい雰囲気をつくり出していた。しかし、今ではこの合意も崩壊している。しかも台湾は、米国の軍事的後ろ盾によって独立運動を起こせると思いこんでいるようだ。戦争を未然に防ぐには、ワシントンは、北京と台北が、お互いに受け入れ可能な関係を形成する時期にきていること、そして、現状を一方的変化させるような試みは、それがいかなるものであれ、受け入れられないことを双方に納得させなければならない。

中国・ロシアを国際秩序に組み込む道

1997年7月号

マイケル・マンデルバーム  外交問題評議会・東西関係プロジェクト議長

「正統的共産主義」がすでに崩壊・解体しているにもかかわらず、ロシアと中国はいまだに新たなシステムを構築できずにいる。そのため両国では、国内ではナショナリズムが幅を効かせ、対外的には自国の主権や地位に過度に敏感な外交路線が採用され、こうした環境を背景に、「ウクライナと台湾が、世界でもっとも危険なスポット」として浮上してきている。大切なのは、国際社会が現状の変革に反対していることを明確に伝え、彼らの現状変革の試みを今後も先送りし続けるように仕向け、すでに定着しつつあるポスト冷戦秩序のなかに、この二つの国家をゆっくりと組み込んで行くことである。いまわれわれに必要なのは、厄介で他の存在を脅かすようなロシアと中国の行動パターンが永続的ではないことを認識した上での、「忍耐強さ」である。

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