1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

政治・文化・社会に関する論文

移民先進国アメリカの悩み

2000年10月号

ジェームズ・ゴールズボロ  サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙コラムニスト

今日の移民政策は、合法か不法かに関係なく、より多くの労働者を求める企業の必要性をもっぱら重視しており、もはや何の歯止めもない状態にある。経済が下り坂に向かえば、アメリカ全土が「カリフォルニアで起きた以上に大規模な」反移民感情にのみ込まれるかもしれない。もしアメリカが移民の受け入れをそのアイデンティティーの一部としているなら、今こそ不合理で管理不可能な移民がもたらす危険を強く認識しなければならない。

フランスの反米・反グローバル化路線の行方

2000年9月号

ソフィー・ミュニエ  プリンストン大学講師

フランスの知識人や利益団体、それに主流派の政治家までが、富裕国と最貧国の不平等の拡大はグローバリゼーションの結果であるとあげつらい、「恵まれない世界の国々の代弁者としてこのトレンドに立ち向かうことがフランスの神聖な義務だ」と口々に繰り返している。今や貿易問題は「自由貿易」対「保護主義」という図式ではなく、「アングロサクソンのグローバリゼーション」対「フランスの国家的・文化的価値」という構図でとらえられている。

本土ミサイル防衛というアメリカの過ち

2000年9月号

イーゴリ・S・イワノフ  ロシア連邦外相

アメリカが一方的にABM制限条約から離脱すれば、ロシアも戦略兵器の制限という義務に縛られることはあり得ず、現状でのアメリカの姿勢が覆されない限り、核軍縮プロセスそのものにピリオドが打たれることになる。NMDの配備は外部における脅威の変化への対応ではなく、軍事技術の進歩に歩調を合わせたものにすぎず、そこからうまみを得るのは、ルールなきゲームを裏で操る軍産複合体である。国際安全保障にとって戦略的安定の重要性は非常に大きく、当然、これを政治の手段、国内政治の道具、一方的な外交政策の対象としてはならない。

北京の軍事計画は中台紛争へのアメリカの介入を前提としており、アメリカの航空母艦を沈める必要性も視野に入れている。台北政府の軍事計画でもアメリカの介入が前提とされている。アメリカがどう出るかわからないと考えているのは、実際にはワシントンだけである。(フリーマン)

中国だけに焦点を絞り、台湾に苦言を呈し、アジアのほかの国々を緩衝地域としか考えなくなってしまうときに、アメリカの政策は危険な状態に陥る。中国に焦点を絞った政策ではなく、広範囲にわたる汎アジア的政策こそ、成功への処方箋である。(ウォルドロン)

特別講演
先進国の高齢化問題を管理していくには

2000年8月号

米外交問題評議会理事長 ピーター・ピーターソン

米外交問題評議会のピーターソン理事長がこのほど来日し、朝日新聞社主催のフォーラムで高齢化問題をテーマに講演した。フォーラムにはトーマス・フォーリー駐日米国大使や小林陽太郎・富士ゼロックス会長ら日米の政財界関係者を中心に二十数人が参加、ピーターソン氏との間で活発な質疑応答もあった。その主な内容を紹介する。

ハイテク労働者は米国を目ざす
――インフレ予防に移民が果たす役

2000年8月号

ステファン・ゲッツ・リヒター  ザ・グローバリスト・コム社長

空前の経済ブームに沸くアメリカにとっての唯一の懸念はインフレである。理論的には、労働需要の高まりはインフレを誘発しかねないが、情報通信・ハイテク部門を中心に、インドなどからの技術専門職のアメリカへの移民が急増しており、彼らの存在は、ハイテク部門の成長だけでなく、労働市場の需給バランスを維持する安全弁の役割を果たしている。金利引き上げを回避しつつ、ハイテク部門の成長を維持する鍵を握っているのは、意外にも自由な人の流れなのだ。

ユーロ圏 財政危機の全貌

2000年7月号

ニオール・ファーガソン オックスフォード大学講師 ローレンス・J・コトリコフ ボストン大学経済学教授

ユーロ各国は深刻な財政問題を抱えている。税負担の世代間格差が、単一通貨ユーロの存続を大きく脅かしかねないのだ。しかも、財政改革を実行できる政府は今のところ見当たらない。

Classic Selection 2000
官僚と政治家が日本を滅ぼす?

2000年7月号

オーレリア・ジョージ・マルガン ニューサウスウェールズ大学政治学教授

日本の最大の強みは、国力を構成する軍事、経済、文化その他の要因を時代に即してうまく再定義してきたことにあり、小泉政権以降の日本政府は、アジアにおける主要なプレーヤーとしての地位を維持していこうと、新たな国力構成領域での強さを培いつつある。若手政治家たちは、日米同盟が両国にとってもっとうまく機能するようになることを願っており、より多くの役割を引き受け、その代わりにより多くを求めることについても躊躇しない。こうした状況にある以上、ワシントンが東京を犠牲にする形で北京との和解路線をとれば、東京は自主路線の度合いを高め、その結果、アジアの安全保障環境はますます不透明になる。ワシントンが中国との緊密な経済的絆に加えて、安定した戦略関係を築くことについて日本を過度に刺激しないようにするには、あくまでも東京との同盟関係を基盤に中国への関与策を進める必要がある。

グローバルな金融市場統合へ
―― 欧米証券取引所の大改革

2000年6月号

ポール・アールマン 欧州証券取引所連合理事長 ブランドン・ベッカー ウィルマー・カトラー・アンド・ピカリングパートナー、米国証券取引委員会(SEC)市場規制局前局長

証券取引所における電子化と証券取引所の株式会社化という大潮流のなかで、欧米では証券取引所の大統合が起こっている。証券取引所という分野にもっとも鋭い見識を持つアールマン氏とベッカー氏の対談を通し、ヨーロッパとアメリカ双方の立場から、グローバルな金融市場の統合に向けた、法的規制の現状と課題、投資家保護の仕組みなどを明らかにする。

Page Top