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環境とエネルギーに関する論文

中国発、環境汚染の衝撃

2014年3月号

ベイナ・シュウ  米外交問題評議会オンライン・ライター・エディター

中国の環境危機は、この国の急速な工業化が引き起こした切実な問題の一つだ。中国経済はこの10年というもの、年平均で約10%のGDP成長を遂げたが、一方で環境と公衆衛生を犠牲にしてしまった。いまや世界の温室効果ガス排出量の3分の1は中国によるものだし、世界でもっとも汚染された都市トップ20の16は中国に存在する。中国の大都市500市のなかで、WHO(世界保健機構)の大気基準を満たしている都市は1%に満たないと言われる。大気汚染のせいで、北部に暮らす人々の平均余命は5・5年短くなり、深刻な水質汚染と水不足によって人々の健康が蝕まれ、土壌の劣化、砂漠化も進んでいる。しかも、世界銀行によると、中国の環境汚染は、国民総所得(GNI)の約9%に相当するコストを経済に強いている。汚染は経済成長を脅かしているだけではない。市民たちは、環境政策の改善に向けた政府の対応が緩慢なために不満を募らせ、社会は不安定化しつつある。環境汚染は、中国の国際的地位を傷つけ、社会の安定、政治的安定さえも脅かしつつある。

CFR Meeting
世界エネルギーアウトルック
―― 中東原油の重要性は変化しない

2014年1月号

ファティ・ビロル 国際エネルギー機関チーフエコノミスト、セオドア・ルーズベルト バークレーキャピタル・クリーンテク・イニシアティブ マネジングディレクター

エネルギー市場における各国の役割が変化しつつある以上、急速な変化のなかで市場の流れを読み、自国を適切な場所に位置づける必要がある。そうしない限り、敗者になる。アメリカは天然ガスの輸出国に姿を変え、中東諸国は石油消費国への道を歩みつつある。ヨーロッパ、アメリカという輸出市場を失いつつあるロシアとカナダは、天然ガス輸出のターゲットを次第に中国や日本などのアジアに向け始めている。そして、シェールガス革命が進展しても、世界の天然ガス価格の地域格差は、今後20年はなくならない。もっとも重要なのは、アメリカ国内における原油生産の増大を前に、「もはや中東に石油の増産を求める必要はない」と考えるのは、政治的にも分析上も完全に間違っていることだ。生産コストが低くて済む、中東石油へ投資しておかなければ、アメリカの石油増産トレンドが終わる2020年頃には、世界は大きな問題に直面する。中東石油の投資を止めれば、原油価格の高騰は避けられなくなる。

Foreign Affairs Update
グリーンランドの資源開発ブーム
―― 開発と汚染リスクに揺れる島民たち

2013年12月

アンナ・カタリナ・グラブガード フリーランスジャーナリスト

オーストラリア、カナダ、中国を含む各国の投資家が、鉱物資源開発をめぐって、グリーンランドに押し寄せている。大きな資源が存在すると長く言われながらも、これまではグリーンランドの資源開発を阻む障害が存在した。ごく最近まで氷床が資源豊かな大地を覆い尽くし、しかも、ウランの掘削が禁止されてきたからだ。潤沢なウラン資源と混在する形でレアアースその他の資源が存在するため、事実上、すべての鉱物資源開発ができなかった。だがいまや氷床は溶け出し、グリーンランド自治政府はウラン掘削を禁止する法律を撤廃している。資源開発に異を唱える人はいない。だが、ウランが掘削されることを現地の多くの人が心配している。注意深く掘削しなれば、ウラン掘削によって土地や水が数世代にわたって汚染されるリスクがあるからだ。・・・

Foreign Affairs Update
米LNG輸出がエネルギー市場を変える

2013年10月号

エイミー・マイヤース・ジャッフェ カリフォルニア大学デービス校
エネルギー&持続可能性研究所 所長
エドワード・モース
シティ・グループ コモディティリサーチ部門
グローバル・マネージングディレクター

2020年までに、アメリカは年間6170万トンの液化天然ガス(LNG)を輸出し、カタールに次ぐ、世界第2のLNG輸出国に浮上していると予測される。アメリカがLNG輸出を増やし、世界市場からの石油輸入を減少させれば、この半世紀に及ぶOPEC(石油輸出国機構)による原油価格の管理能力は否応なく低下する。つまり、アメリカのエネルギー輸出が、石油や天然ガスに関する世界のゲームルールにどのような衝撃を与えるかが重要なポイントになる。1973年のOPECによる価格引き上げと禁輸以降の40年にわたって、石油と天然ガス市場は高度に政治化されてきた。だが、アメリカが主要なエネルギー輸出国になれば、グローバル経済における最大の産業であるエネルギー部門で突然、自由貿易が実現する。アメリカのLNG輸出は、世界の炭化水素資源貿易から政治を排除する最初のステップにすぎない。グローバルな天然ガス市場で起きていることは、いずれグローバルな石油市場でも必ず起きる。

安倍政権のエネルギーアジェンダ

2013年9月号

ダニエル・P・オルドリッチ パデュー大学政治学准教授
ジェームズ・E・プラッテ 原子力エネルギー協会(NEI)インターン
ジェニファー・スクラリュー ジョージメイソン大学公共政策大学院PhDキャンディデート

現在の日本の電力市場構造は、第二次世界大戦後の占領期に形作られている。GHQの指令によって電力事業体は地域ごとに独占市場を作り上げ、電力価格は通産省(現経済産業省)によって厳格に規制されてきた。だが安倍内閣の規制改革方針では、半世紀前につくられた古い電力システムを3段階の改革によって変化させていくことが想定されている。まず、独立機関「広域系統運用機関」が新しく創設され、この機関が電力の需給バランスを調整し、地域間の電力供給を担当する。次に、小売市場と卸売市場の両方において、新たな電力供給者の自由参入を認め、電力の取引市場も設けられる。そして、電力の生産、輸送、分配は法的に分離され、小売料金が全面自由化される。・・・だが、今後を大きく左右するのは、原発の再稼働申請が認められるかどうかだ。現状では、停止中の原発48基分のエネルギーを埋め合わせるために(火力発電燃料である)天然ガスの輸入量が急増している。特に、MOX燃料の使用とプルトニウム燃料の再処理プログラムがどう判断されるかが、今後の日本のエネルギー政策を大きく左右する。

Foreign Affairs Update
エネルギーとアメリカのパワー
―― アメリカ衰退論への決別

2013年7月号

トム・ドニロン/前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

エネルギーは国益と国際関係を規定し、国の政策、経済開発、統治、安全保障、環境などの多くに影響を与える。米国内で豊かなエネルギー資源が十分に開発されるようになったことは、アメリカの経済、エネルギー安全保障、地政学的地位にプラスに作用している。だが、世界のエネルギー消費が引き起こす気候変動が、世界環境に桁外れに大きな問題を作りだしているだけでなく、すでに米国家安全保障にとっても脅威になっていることを見落とすべきではない。よりクリーンで持続可能なエネルギーソリューションを各国が模索していく必要があることは、はっきりしている。・・・オバマ政権が発足した当時であれば、アメリカのエネルギーの先行きはその弱点の一つとみなされていたかもしれない。だが、新たな資源が開発されただけでなく、二酸化炭素排出量の削減に成功している以上、いまやエネルギーは永続的なアメリカの強さ、アセットになったとみなせるだろう。

米エネルギー革命のポートフォリオバランス

2013年7月号

マイケル・レビ
米外交問題評議会シニア・フェロー

アメリカで起きているのは天然ガス開発ブームだけではない。原油生産は史上最大規模の年間生産量の伸びを示し、風力、太陽光、地熱など、先端技術を用いた再生可能エネルギーによる電力生産も2倍に増え、生産コストも低下している。しかも車やトラックの燃費の向上によって、石油需要は低下しつつある。最大の問題は、そこには環境保護派と補助金を通じたエネルギー経済への政府の介入を嫌う人々の間に厄介な対立が存在することだ。重要なのは、特定のエネルギー資源を選ぶのではなく、こうした「新展開のすべてをうまく生かしていくことで、エネルギーにとって最善の未来を切り開けること」を双方が認識することだ。ワシントンの指導者たちは、クリーンエネルギーへの移行を進めつつも、伝統的なエネルギー資源にも依存する、あらゆるタイプのエネルギーの機会を慎重に生かしていく一方で、地球温暖化を加速させ、アメリカの石油依存を持続させるような危険なエネルギー消費にはペナルティを課す必要がある。このバランスこそが、アメリカにおけるエネルギーの未来を左右することになる。

中国の経済成長モデル見直しとエネルギー価格の自由化

2013年7月号

ダミアン・マ
ポールソン研究所フェロー

相対的に貧困な国で経済が急拡大した場合、インフレを警戒する必要がある。外国からの原材料輸入とともにインフレも輸入してしまうリスクがあるからだ。中国政府はこのリスクを回避しようと重工業を中心とする基幹産業のために人為的にエネルギー価格を抑え込む価格統制策をとってきた。低めに抑えられたエネルギー価格は、低く抑えられた為替レート同様に輸出競争力を支え、(インフレの抑制と)輸出主導型の経済成長モデルに貢献した。だがその結果、エネルギーの利用効率の改善や環境問題への配慮は二の次とされ、深刻な環境汚染と社会不満が広がりをみせ、いまや経済モデルを見直さざるを得なくなっている。すでに北京の新体制は中国の経済モデル移行に向けた重要な一部として、エネルギーの価格改革に高い優先順位を与えているようだ。現実にそうなれば、中央統制経済のもっとも頑迷な遺産を中国が取り払おうとしていることへの明確なメッセージになる。

北極圏の未来
――北極圏サークルの立ち上げを

2013年6月号

スピーカー オラフル・ラグナル・グリムソン  アイスランド大統領、 プレサイダー スコット・G・ボルガーソン  前外交問題評議会シニア・フェロー

アイスランドの氷河はヨーロッパ最大の規模をもっているが、この氷河の後退は地球温暖化がたんなる理論ではなく、現実に起きていること、それが大きな変化をもたらしていることを物語っている。海面の上昇によって、世界の都市と経済はいずれ大きなダメージを受けると思われる。中国の研究者たちは、・・・グリーンランドや南極の氷床の溶解による海面上昇によって、上海を始めとする多くの都市が水没するというシナリオを想定している。・・・われわれは北極評議会を越えたより大きなプレイヤーを内包するフォーラム、北極圏サークルも立ち上げようと試みている。これは、北極圏諸国だけでなく、アジアやヨーロッパ諸国の科学者、活動家、企業、政治指導者たちが参加するフォーラムだ。

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