1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

― クリーンエネルギーに関する論文

アフリカ経済と化石燃料
―― 持続可能な開発と貧困撲滅の間

2021年10月号

イェミ・オシンバジョ ナイジェリア副大統領

欧米系の大企業がアジアやヨーロッパ市場への輸出用にアフリカで天然ガス開発を続けているにもかかわらず、欧米政府は、アフリカ諸国が国内で使用するためのガスプロジェクトへの資金供給をストップしようとしている。気候変動と闘うには、すべての国が役割を果たす必要があるが、化石燃料からの離脱のタイミングについては、各国の経済レベルの違いを考慮し、ゼロ・エミッションを達成する道が一つではないことを認めるべきだ。安価で安定的に確保できる化石燃料エネルギーを犠牲にして、再生可能エネルギーへの移行がアフリカの途上国に強要されることがあってはならない。天然ガス資源は、アフリカの多くの国では人々を貧困から脱却させるために重要な役割を果たせる。

CFR in Brief
気候変動と原子力発電

2021年4月号

リンジー・メイズランド CFR.org ライター

2011年、日本の福島第一原子力発電所の原子炉3基がメルトダウンし、1986年のチェルノブイリ原発事故以降、最悪の事態が引き起こされた。日本を含む一部の国はその後原子力エネルギーの使用を見直した。しかし、他の多くの諸国は、原子力への立場を変えなかった。今後、気候変動問題への対策から、各国は原子力発電の利用を考慮に入れざるを得なくなるとする見方もある。米エネルギー情報局(USEIA)は、途上国における原子力発電は今後30年間で3倍近くに増えると予測している。だがそれでも、エネルギーミックスでみると原子力エネルギーは比較的小さなシェアに留まると考えられる。

気候変動には現実主義で対処せよ
―― 社会革命ではなく、リアリズムを

2020年9月号

ハル・ハーベイ  エナジー・イノベーションCEO

国際社会は気温上昇を一定の範囲内に収める上で排出可能な温室効果ガスの累積上限をほぼ使い切ってしまっている。しかし、打つ手はある。二酸化炭素相当物排出のほぼ75―80%は、世界20カ国の4大排出源(発電所、自動車、建物、工場)における化石燃料の燃焼が原因だからだ。逆に言えば、これら20カ国の四つの産業部門の意思決定者と規制当局者に対象を絞りこんだ対策をとる必要がある。電力、運輸、建設、製造のすべてにおいて、エネルギー関連の資金の流れが化石燃料からクリーンなエネルギーへシフトしていくように政策を見直すことだ。各部門の実際の意思決定者を正しく把握し、どのようにそれが機能しているかを理解し、圧力をかける方法をみつけなければならない。必要なのは、ターゲットを絞り込んだ現実主義的アプローチだ。

テクノロジーでネットゼロを切り開く
―― 実質ゼロエミッションへの道

2020年6月号

イネス・アゼベド 、マイケル・R・デビッドソン、 ジェシー・D・ジェンキンス、 ヴァレリー・J・カープラス 、デビッド・G・ビクター

19世紀最大の技術革新は、化石燃料のパワーを利用して産業を成長させたことだった。20世紀はそれに続くイノベーションの波に乗り、図らずも、地球を大規模な温暖化軌道に乗せてしまった。当然、21世紀の決定的に重要な産業プロジェクトは炭素からの脱却になる。政府と企業は、長期戦を覚悟すべきだが、幸い、電力生産部門では、すでに大きな変化が起きており、低排出技術が急速に広がっている。風力、太陽光、原子力に正しい政策的介入をすれば、各国の化石燃料への依存を大幅に低下させ、その過程で二酸化炭素排出量を劇的に減らすことができる。運輸技術と加熱技術の電化、低炭素の電力生産の拡大は、現時点ではもっとも確実なクリーン経済への道のりを示している。

資本主義を救う改革を
―― 株主資本主義からステイクホールダー資本主義へ

2020年2月号

クラウス・シュワブ  世界経済フォーラム  設立者兼会長

1980年代以降の40年で、あらゆるタイプの経済格差が拡大した。社会システムにも亀裂が生じ、社会を包み込むような経済成長を実現できなくなった。一方で、市場主義は深刻な環境問題も作り出した。利益の最大化を至上命題とする株主資本主義によって問題の多くが引き起こされている。幸い、若者世代は、企業が環境や社会的満足を犠牲にして利益を模索することをもはや認めていない。この意味でも現状の資本主義はすでに限界に達している。内側からシステムを改革しない限り、存続はあり得ない。企業は「ステイクホールダー(公益)資本主義」を受け入れ、社会・環境上の目的を実現するための措置を積極的に果たしていく必要がある。われわれは非常に大きな選択に直面している。

温暖化への適応か国の消滅か
―― 気候変動が引き起こす大災害の衝撃に備えよ

2020年1月号

アリス・ヒル 米外交問題評議会 シニアフェロー(気候変動政策担当)
レオナルド・マルティネス=ディアス 世界資源研究所持続可能な金融センターの グローバルディレクター

アメリカの場合、社会・経済インフラは歴史的水準の異常気象に耐えられるように設計されているが、いかに手を尽くしても、今後の気候変動と災害の衝撃が過去のそれを上回るようになるのは避けられない。川や海に近く、住宅地として人気があるとしても、危険地帯での住宅建設を止めさせ、コミュニティ全体の移住にも備えるべきだろう。災害後の復興策もこれまでのやり方では財政がもたない。生き残るには、これまでのインフラ、データシステム、そして災害予算政策を抜本的に刷新する必要がある。復旧コストのほとんどを借入金で賄うやり方は、自然災害の頻度と破壊度が増している以上、深刻な状況にある財政をさらに悪化させる。災害に対するレジリエンス強化に向けた投資が必要だし、気候変動リスクをわれわれはもっと正面から捉えなければならない。

メコンと東南アジアを脅かす脅威
―― ダムではなく、再生可能エネルギーの整備を

2019年12月号

サム・ギアル  チャタムハウス アソシエートフェロー

メコン川に流水の多くを供給しているヒマラヤの氷河は21世紀末までに温暖化によって消滅するかもしれない。上流の中国は下流のラオスとカンボジアにダム建設を働きかけ、いまやメコン川は中国がその利益とパワーを展開する主要な舞台と化している。しかも、流域諸国政府はメコン川の環境問題にほとんど配慮していない。要するに、流域コミュニティは気候変動の弊害、中国の地政学的野心、政府の環境問題への無関心という逆風にさらされている。流域のよりよい未来はダムによる水力発電ではなく、再生可能エネルギーを整備することで切り開けるはずだ。国内でソーラーパワー産業を育成し、貧困を緩和するという目的から再生可能エネルギーを整備してきた実績持つ中国は、ダム開発ではなく、メコン流域における脱炭素の未来を切り開くための投資を考えるべきではないか。

大気中から二酸化炭素を吸収する
―― ネガティブエミッション技術のポテンシャル

2019年5月号

フレッド・クルップ 環境防衛基金会長
ナサニエル・コへイン 環境防衛基金上席副会長(気候担当)
エリック・プーリー 環境防衛基金上席副会長(戦略・広報担当)

気候変動に派生するわずかな気温上昇でも深刻な帰結を伴うと考えられている。例えば、気温が1・5度から2度へと0・5度上昇しただけで、水不足に直面する人は倍増し、海面上昇のリスクにさらされる人口は1000万人増える。主要作物の収穫量が減り、途上国の多くが飢餓状態に陥る。しかも温暖化レベルを左右する大気中の二酸化炭素濃度は、いまや過去300万年で最悪のレベルにある。もはや二酸化炭素排出量の削減だけでは十分ではない。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの大気中濃度を安定化させるには、排出量削減だけでなく、すでに大気中にある二酸化炭素を除去しなければならない。幸い、昔ながらの森林再生から、大気中の二酸化炭素を吸収して地中に貯留するハイテク装置までの幅広い方法がある。・・・

カーボンプライシングという幻想
―― より直接的な二酸化炭素削減策との組み合わせを

2018年9月号

ジェフリー・ボール スタンフォード大学 レジデントスカラー

炭素税や二酸化炭素排出権取引の前提として二酸化炭素排出に価格をつけるカーボンプライシングを導入することで、政策決定者や市民が、自分たちは地球温暖化対策に有意義な貢献をしていると幻想を抱いている限り、このシステムは無力なだけでなく、非生産的だ。このソリューションだけでは問題解決には至らないという現実を認識する必要がある。地球が摂氏2度の気温上昇という臨界点を超えるのはもはや避けられないが、それでも温暖化を最小限に食い止める方法はある。石炭の段階的利用停止、二酸化炭素回収貯留(CCS)技術開発のスピードアップ、原子力発電の継続、再生可能エネルギーコストの削減、化石燃料価格の値上げは効果がある。「カーボンプライシングは地球温暖化防止のために社会が用いる主要ツールであるべきだ」という考えには、ほとんど根拠がないことをまず認識する必要がある。

中国のエネルギー地政学
―― クリーンエネルギーへの戦略的投資

2018年4月号

エイミー・マイヤーズ・ジャッフェ 米外交問題評議会シニアフェロー (エネルギー&環境問題担当)

トランプ政権が石油・天然ガスを重視し、パリ協定に背を向けるなか、すでに中国は戦略的にクリーンエネルギー大国の道を歩みつつある。新エネルギー戦略が成功すれば、世界の気候変動との闘い、さらには地域的同盟関係や貿易関係の双方において、中国はアメリカに代わる最重要国に浮上する。クリーンエネルギーテクノロジーの輸出国として中国は、各国に石油・天然ガスの輸入量さらには二酸化炭素排出量を減らす機会を提供できるし、相手国政府との関係も強化できる。冷戦期のアメリカが、ソビエトとの宇宙開発競争に敗れた場合の経済的・軍事的余波を認識して、対抗策をとったように、ワシントンは中国の再生可能エネルギーへの移行にも、同様の対策をとるべきだろう。アメリカは、世界のエネルギー市場における優位を手放すリスクを冒している。

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