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― クリーンエネルギーに関する論文

CFRミーティング
世界エネルギーアウトルック
――天然ガス革命、温暖化、石油、クリーンエネルギーの未来

2012年1月号

スピーカー
ファティ・ビロル 国際エネルギー機関(IEA)チーフエコノミスト
プレサイダー
エドワード・L・モース シティグループ・グローバルマーケットマネージング・ディレクター

仮に脱原発が世界的な流れになれば、何がどう変わるのか。原発施設の停止による電力生産の減少分は、主に再生可能エネルギー、天然ガス、石炭を用いた電力生産で埋められていく。この場合、石炭と天然ガスへの需要がさらに高まり、当然、価格は上昇する。エネルギーミックスの多様性も低下し、二酸化炭素排出量が増大する。各国政府は、ドイツ政府のように脱原発を求める市民の声に耳を傾ける必要があるが、(環境とエネルギーという)国益からみた構造的な必要性にも配慮する必要がある。というのも、現状では、地球の気温が6度上昇する軌道にあるからだ。さまざまな地球温暖化対策の議論が行われているにも関わらず、この事実は変わらない。実際、2010年には二酸化炭素排出量は史上最大レベルへと達しており、現状が何も変化しないとすれば、2017年には地球の気温上昇を2度に抑える機会は永遠に失われてしまう。しかも、各国政府は、クリーンエネルギーのための予算を財政赤字問題に対処するために充当しつつある。これまで再生可能エネルギーを積極的に推進してきたヨーロッパの主要国も、再生可能エネルギーへの補助金を打ち切りつつある。・・・

地球温暖化リスクと原発リスク
―― フクシマの教訓と新小型原子炉のポテンシャル

2011年11月号

アーネスト・モニズ マサチューセッツ工科大学物理学教授

温室効果ガスが大気に蓄積されていくにつれて、電力をクリーンかつ安価に、しかも信頼できる形で生産する方法を見いだすことが、ますます切実な課題になっている。原子力は魔法の杖ではないが、(二酸化炭素を排出せずに)大規模な電力を生産できることが立証されている以上、フクシマを経た現在もその解決策の一部である。フクシマの教訓を生かして安全性を高めるとともに、建設コストを引き下げ、放射性廃棄物問題を解決しない限り、原子力エネルギーの大きな進展は期待できない。だが、小型モジュール炉(SMR)が実用化されれば、安全性とコストの問題は大きく改善される。SMR、再生可能エネルギー、先端型バッテリー、二酸化炭素回収・貯蔵技術の何であれ、新たなクリーンエネルギー上のオプションを作り出す試みを止めれば、10年後にわれわれは大きな後悔をすることになる。

Foreign Affairs Update
グリーンテクノロジーの将来
―― CCS技術への投資を

2011年10月号

ジュリオ・フリードマン ローレンス・リバモア研究所二酸化炭素管理プログラム責任者

グローバルレベルでも国家レベルでも、化石燃料による電力の生産と供給には変化がみられない。再生可能エネルギーの利用が増えているにもかかわらず、二酸化炭素排出量は急激に増大している。このような状況にあるにも関わらず、二酸化炭素を分離して、地球環境に悪影響を与えない安全な場所に封じ込め、大規模な気候変動を引き起こさずに化石燃料を利用できるようにするCCS技術はそれほど注目されていない。アメリカを含むOECD諸国の市民の多くは、二酸化炭素の回収・貯留技術(CCS)が何であるかについて、この技術で何ができ何ができないか、そして、それが環境上何を意味するかをほとんど理解していない。全面的に導入されれば、CCSは、世界が必要としている二酸化炭素排出削減量の25-50%を削減できるポテンシャルを秘めている。各国が二酸化炭素排出の削減に向けた力強いコミットメントからしだいに離れていくにつれて、CCSその他の重要なクリーンエネルギー技術の開発と実証研究が先送りされかねない状況にある。

クリーンエネルギーの不都合な真実
―― 補助金を脱した真のクリーンエネルギー革命に向けて

2011年7月号

デビッド・ビクター カリフォルニア大学教授
カッシア・ヤノセック タナ・エナジーキャピタルLLC プリンシパル

世界のクリーンエネルギー・プロジェクトへの投資の8分の7は、政府の補助金がなければ、在来エネルギーとは競合できない既存技術を対象としており、真の技術革新への投資は、全体からみれば、ほんの一部でしかない。問題は、政府によるクリーンエネルギー促進策が景気刺激策の一環として実施されてきたことだ。その結果、投資家は、在来型のエネルギー資源と競合できるようになるポテンシャルを秘めた技術革新レベルの高い技術ではなく、(補助金が期待でき)早く簡単に実施できる既存のプロジェクトへと資金をつぎ込んでしまった。クリーンエネルギー産業の先行きは憂うつと言わざるを得ない。地球温暖化を引き起こさずに大規模な電力を生産できるのは現状では原子力だけだ。貴重な公的資金を、バイオ燃料、あるいは、ソーラーエネルギーや風力エネルギーにつきまとう断続問題を克服できるエネルギー貯蔵技術を含む、電力生産領域における画期的な技術革新の実証実験と配備へとシフトさせる必要がある。

CFRミーティング
世界エネルギー・アウトルック ――
ゲームチェンジャーとしての電気自動車と二酸化炭素回収・貯蔵技術

2011年1月号

スピーカー
ファティ・ビロル 国際エネルギー機関・経済分析部 チーフエコノミスト
司会
ピーター・ゴールドマーク 環境防衛ファンド ディレクター

原油価格は今後も高いレベルを維持し、一方、天然ガスの価格は供給過剰で今後も安値が続く。天然ガスは環境面でも悪い選択肢ではなく、逆に再生可能エネルギーの開発にはマイナスに作用している部分がある。・・・既存のエネルギーに比べてコストが高いために、クリーンテクノロジーは市場に浸透しないという問題を抱えている。鍵を握るのは中国だ。中国が、クリーンテクノロジーを大々的に市場に導入すれば、コストは引き下げられ、これは世界のすべてにとっての利益になる。だがもう一つの側面もある。電気自動車を例にとると、中国は自動車メーカー、部品メーカーその他すべてをひとまとめにして、資金と補助金を与えるという戦略をとっている。つまり、今後20~25年もすれば、中国が電気自動車産業の覇者になっていてもおかしくはない。・・・いずれにしても、エネルギー問題、地球環境、石油市場についてわれわれが持続不可能な未来へと向かっているという基本的な流れに変化はみられない。(F・ビロル)

クリーンエネルギーの研究・開発、実証実験を多国間で進めよ

2011年11月号

マイケル・レビ、エリザベス・C・エコノミー、シャノン・オニール、アダム・シーガル
4氏はいずれも米外交問題評議会のシニア・フェロー。 各氏の担当分野。専門は論文末の著者紹介を参照。

現状では、クリーンエネルギーはほぼいかなるケースにおいても化石燃料エネルギーよりもコストがかかる。例えば、中国では原子力発電は石炭よりも15〜70%も高く、陸上風力発電は石炭の2〜4倍、太陽光発電は5倍以上のコストがかかる。(莫大なコストを要する)クリーンエネルギー導入の資金リスクを減らし、価格が現在よりも安く、経済性のあるものにならない限り、クリーンエネルギー促進政策が、必要とされる規模とペースで進展することはあり得ない。経済性を高めて、コストを下げるには、クリーンエネルギーの世界市場を何としても誕生させる必要がある。だが、クリーンエネルギーへの投資が国家の競争力を高めることを目的とするゼロサム・ゲームと認識されている限り、国家は障壁をめぐらそうとし、世界市場は出現しない。各国の試行錯誤を緊密に連携させ、他国の成果の上に研究を積み重ねられるようにして、市場の形成と拡大を目指すべきだ。

地球温暖化が問題になっているとはいえ、いまや風力、地熱エネルギー、ある特定の太陽光エネルギー技術を含む、数多くの技術が、石炭のような従来のエネルギー源ほど安価ではないにしても、十分な量のクリーンエネルギーを供給できるところまで成熟している。問題は、資金へのアクセスが十分でないことだ。だが、市場メカニズムをうまく利用した排出権取引システムがあれば、この問題に正面から対応できる。・・・排出量割り当てが減少していけば二酸化炭素の価格は上昇し、排出主体が負担するコストは、排出削減のために負担するコストと反比例して増大していく。・・・市場は、資金を分配し、富を創出する強力なメカニズムだ。地球温暖化が地球全体に脅威をもたらしている現在、市場は社会変革を推進するメカニズムにもなる。

ブラックカーボンと低層オゾン対策を
―― もう一つの温暖化対策

2009年10月号

ジェシカ・セドン・ワラック 金融管理研究所(IFMR)開発金融センター所長
ビーラバドラン・ラマナタン カリフォルニア大学サンディエゴ校教授(気候・大気科学)

二酸化炭素排出量削減の恩恵は世界全体で享受できるが、削減コストは各国が負担しなければならない。このコストと恩恵のバランスの見極めが難しいために国際条約をまとめるのは難しい。一方で、リスクが小さく、費用対効果が高く、大きな成果が得られるのに、ほとんど注目されていないオプションがある。それは、光を吸収し(温暖化を進める)「ブラックカーボン(=黒色炭素)」として知られる炭素粒子、そして低層オゾンを形成するガスの排出を削減することだ。黒色炭素と低層オゾン前駆物質の排出量削減はさまざまな意味で有望だ。コストが比較的小さくて済む上に実行しやすく、何十年分もの温室効果ガスの悪影響を相殺し、数多くの恩恵が直ちに得られ、しかも、いますぐに着手できる。

CFRディベート
原子力エネルギーは地球温暖化対策の切り札になるか

2007年11月号

マイケル・マリオット 原子力情報資源サービス所長
スティーブ・ケレケス 原子力エネルギー研究所広報部シニア・ディレクター

環境保護派の多くにとって、原子力発電という言葉はいまも呪いの言葉に等しい。彼らの多くは、原子力発電所が環境に与えるダメージをいまも心配している。だがここにきて、地球温暖化対策という新しい基準が政策領域に持ち込まれたことで、環境保護の観点からも二酸化炭素を排出しない原子力発電が見直されつつある。だが、温室効果ガスを排出しないとはいえ、原子力発電には原子炉の安全性、放射性廃棄物、核拡散リスク、コストの問題がともなうと考える専門家もいる。環境をこれ以上汚染せずに、電力の必要性をいかにして満たしていくのか。それは、原子力発電なのか、それとも、同様に温室効果ガスを排出しない風力やソーラー(太陽光)エネルギーなどの再生可能エネルギーなのか。あるいは、原子力と再生可能エネルギーの組み合わせなのか。二人の専門家が議論する、エネルギーと地球環境の将来とは。

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