2023年のトレンドを考える
2023年2月号
グローバルな食糧不安、今後の地政学的変数の一つであるインドとロシアの関係はどう推移するのか。中国の軍事的脅威にアジアの地域諸国は適切に対処しているか、アフリカの経済成長を妨げている頭脳流出の原因は何か。そしてアメリカにおける政治的分裂状況は、今後さらに激化していくのか。地域、イッシューの専門家が分析する2023年のトレンズ。
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2023年2月号
グローバルな食糧不安、今後の地政学的変数の一つであるインドとロシアの関係はどう推移するのか。中国の軍事的脅威にアジアの地域諸国は適切に対処しているか、アフリカの経済成長を妨げている頭脳流出の原因は何か。そしてアメリカにおける政治的分裂状況は、今後さらに激化していくのか。地域、イッシューの専門家が分析する2023年のトレンズ。
2023年2月号
中国は、アメリカのメディアや指導者たちが描写するような台頭する覇権国ではなく、いまや、よろめいて崖っぷちに立たされている。問題は、アメリカの政治家の多くが、依然として、米中間の争いを中国の台頭という視点で組み立てていること、しかも、中国が高まる危機に直面していることを認めつつも、それをアメリカにとって中立的か肯定的な展開とみていることだ。だが真実はその逆だ。よいニュースであるどころか、中国が弱体化して停滞し、崩壊へ向かえば、中国にとってだけでなく、世界にとっても、繁栄する中国以上に危険な存在になる。
2023年2月号
2023年、国際政治はどのような展開をみせるのか。米外交問題評議会のジェームズ・リンゼーは、その手がかりとしてウクライナ戦争、反欧米枢軸の連帯、台湾問題、イランの不安定化、アメリカの経済単独行動主義を挙げる。ウクライナ戦争については「春になり、ロシアがベラルーシの支援を得て新たな軍事攻撃を開始するか、ウクライナがクリミアの奪還を目指せば、状況は一変するかもしれない」と指摘し、反欧米連合については、「アメリカが支配する世界秩序への反発を共有しているだけでは、強固な協調基盤は形成されないかもしれない」とみる。イランについては「2023年12月31日まで、イラン・イスラム共和国は存在しているだろうか」と問いかけている。・・・
2023年1月号
反対運動を分裂させて弱体化し、結束したエリート層をもち、強力だが政治的に従順な軍と警察を組織できれば、独裁体制はレジリエントになる。ロシアや中国といった権威主義国家が「自分たちの体制は欧米の民主主義体制よりも優れている」と主張しているだけでなく、対外的な強硬姿勢を強めているだけに、独裁体制の強さ、耐久力の理由を知ることは重要だろう。その強さを革命体験に求める考えもある。だが実際には、権威主義の政府は、歪んだ選挙を実施し、言論の自由や市民社会を制限し、独立した司法などの抑制と均衡のシステムを抑え込むことで体制を強化している。・・・
2023年1月号
ツァイテンヴェンデ(時代の転換、分水嶺)は、ウクライナ戦争や欧州安全保障問題を超えた流れをもっている。ドイツとヨーロッパは、世界が再び競合するブロック圏に分裂していく運命にあるとみなす宿命論に屈することなく、ルールに基づく国際秩序を守る上で貢献していかなければならない。われわれは民主国家と権威主義国家の対立は模索していない。それでは世界的分断を助長するだけだ。その歴史ゆえに、私の国はファシズム、権威主義、帝国主義の流れと闘う特別な責任を負っている。同時に、イデオロギー的・地政学的な対立のなかで分断された経験ゆえに、新たな冷戦の危険を直接的に知っている。多極化した世界では、対話と協力を民主主義世界のコンフォートゾーンを越えて広げていかなければならない。・・・
2023年1月号
習近平は、中国の政治をレーニン主義的な左寄りに、経済をマルクス主義的な左寄りに、そして外交をナショナリスト的な右寄りにシフトさせている。政策と民衆の生活のあらゆる領域で党の影響力を高め、国有企業を強化し、民間部門に新たな制約を加えている。そして、より強硬な外交姿勢をとることで、ナショナリズムを煽り立てている。アメリカとパートナー諸国は、現行の対中戦略を慎重に見直すべきだ。アメリカの戦略立案者は、(相手も自分と同じように考えるだろうとみなす)「ミラー・イメージング」を避け、北京は、ワシントンが考えるように合理的にあるいは国益のために行動すると思い込んではならない。
2022年12月号
習近平の中国は、鄧小平路線に象徴される改革開放路線、プラグマティズム路線と完全に決別した。改革時代の終わりの儀式を司ったのが第20回党大会だった。マルクス・レーニン主義の信奉者である習の台頭はイデオロギー的指導者の世界舞台における復活を意味する。共産党による政治・社会の統制時代へ回帰し、中国における少数意見や個人の自由のための空間は小さくなっていくだろう。経済政策も市場経済路線から国家主義的アプローチへ戻され、国際的現状を変化させることを目的とする、ますます強硬な外交・安全保障政策が模索されるようになる。考えるべきは、この計画が成功するのか、それとも、このビジョンに抵抗する政治的反動が内外で引き起こされるかだろう。
2022年12月号
私がウクライナ侵攻で思い知ったことの一つは、それまでの20年間に目撃してきたことに大いに関係していた。ゆっくりとだが、政府が自らのプロパガンダにとらわれ、歪められてしまっていた。ロシアの外交官は長年、ワシントンに対決路線をとり、嘘とつじつまの合わない言葉を並べて、ロシアの対外的干渉を正当化するように強いられてきた。私たちは仰々しいレトリックを使って、モスクワに命じられたことをそのまま繰り返すように教育されていた。だが、最終的に、外国だけでなく、ロシアの指導部もこのプロパガンダに感化されるようになった。・・・この戦争は、エコーチェンバーで下された決定がいかに裏目に出るかを明確に示している。
2022年12月号
ロシアのパワーと影響力が衰退しているとしても、その脅威が今後大きく後退していくわけではない。プーチンが敗れても、ロシアの問題は解決されないし、むしろますます大きくなっていく。欧米は、この現実を認識し、ロシアがおとなしくなることへの期待を捨て、モスクワの標的にされているウクライナへの支援を続けなければならない。ロシアは往々にして再生、停滞、衰退のサイクルを繰り返す。ウクライナ戦争でそのパワーと世界的地位が低下しても、ロシアの行動は、今後も反発、国境沿いの勢力圏の模索、そして世界的地位への渇望によって規定されていくだろう。ヨーロッパが単独でこの問題を処理できると考えてはならない。ロシアの脅威は変化するとしても、今後もなくならない。
2022年12月号
イスラエルは、ネタニヤフをさらに右へと向かわせる「全面的右派」連立への道を歩んでいるようだ。現実にそうなれば、次の政権はイスラエル史上、もっとも極端な右派政権になるかもしれない。もっとも、ネタニヤフ政権の「外交やパレスチナ問題」という二つの重要領域の政策は、現在の政権と比べても、程度の差はあっても、本質的な違いはおそらくないはずだ。しかし、民主的制度の運用を含む国内問題については、現政権との違いが、イスラエルの社会と国家に非常に大きな影響を与えることになると考えられる。イスラエルは、政治的には右派多数派の専制、社会的には少数派である正統派と超正統派の専制というかつてない時代に入ろうとしている。ポイントは、ネタニヤフがどこまで右寄りの政策をとるかだろう。・・・