それでも北朝鮮は生き残る
1997年8月号

現在の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の食糧危機を過大視すべきではない。「飢餓状態は地域的なもの」だし、少しばかりの援助があれば、あるいは援助なしでも、北朝鮮はなんとかやっていけるだろう。広範な飢餓状態がおきるとすれば、それは、「国内政治エリートの意図的な政治決断の結果」であろう。むしろ注目すべきは、いま北朝鮮にどのような選択肢があり、関係諸国がそれに対してどんな考えをもっているかだ。少なくとも、関係諸国が拙速な統一を望んでいないのは明らかで、「中国、日本、ロシア、そしておそらくは韓国でさえも、資本主義体制をとり、おそらくは核武装した統一国家が半島に出現するよりも、なりを潜めた北朝鮮が何とか生き延びていくことを望んでいる」。北の国内状況が改革を求めるか、あるいは混沌に陥っていくまでは、北朝鮮は当面の間生きながらえると考えたほうが無難であり、今後の対朝政策は、東アジアのパワー・バランスを念頭においた、中・長期的なものでなければならない。