Vladyslav Starozhylov / Shutterstock.com

EMUと国際紛争

マーチン・フェルドシュタイン  ハーバード大学経済学教授

EMU and International Conflict

Martin Feldstein  ハーバード大学の経済学教授で、民間の経済研究所として有名な全米経済調査会(NBER)の所長。

1998年2月号掲載論文

「ヨーロッパ内で戦争が起きるというシナリオ自体忌むべきものだが、それでも、まったくありえないとは断言できない」。EMU(欧州経済通貨同盟)と欧州政治統合がその帰結として伴う紛争の危険は、無視するにはあまりに真実味を帯びているのだ。金融政策の舵取りをひとり欧州中央銀行に任せれば、失業、インフレなどの面でそれぞれに異なる状況にある諸国に単一の政策が採られるようになり、各国の政府がこれにあまねく満足することはありえず、大きな紛争の種になるだろう。実際、経済政策をめぐる対立や国家主権への干渉が、歴史、民族、宗教に根ざす長期に及ぶ敵対感情を増幅しかねない。問題はそれだけではない。ソ連の脅威が明らかに消滅した以上、ヨーロッパと米国の外交、経済、安全保障上の立場の違いがいずれ表面化するのは不可避であり、より堅固な政治統合を導くようなEMUの発足はこうした傾向を間違いなく加速することになるだろう。

  • 政治プロジェクトとしてのEMU
  • 金融政策の政治・経済学
  • インフレと失業
  • 税機能をどう調和させるのか
  • 失業と保護貿易の台頭
  • 対立の温床としての統合
  • 欧州独自の安全保障?
  • 戦争のリスク
  • 米国にとっての意味

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

Copyright 1997 by the Council on Foreign Relations, Inc. & Foreign Affairs, Japan

Page Top