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に関する論文

世界は再び食糧不足の時代へ
――結局、マルサスは正しかったのか

2010年3月号

チャーリスル・フォード・ランゲ ミネソタ大学教授
チャーリスル・ピエール・ランゲ イエール大学学生

2009年の穀物生産がかつてないレベルへと増大したことで、価格の高騰は一時的に抑えられているが、今後数年間のうちに再び世界は食糧不足に陥り、市場価格が高騰し始めるようになる。緑の革命を経て、多くの人が、これで食糧の安定供給は確保されたと考えるようになったが、実際にはそうではなかったことはすでに最近の食糧価格高騰によって実証されている。ますます多くの穀物がバイオ燃料の原料として用いられ始め、中国や南アジアでの人口や所得が上昇するにつれて食糧需要はさらに高まっている。途上国、とくに最貧国は絶望的な状態に追い込まれている。すでに食料価格を高騰させるメカニズムは動き出している。

「北京コンセンサス」の終わり

2010年3月号

姚洋(ヤン・ヤオ)
北京大学国家発展研究院 副所長

一般に途上国の一人当たりGDPが3000~8000ドルに達すると、経済成長は頭打ちになり、所得格差が拡大して社会紛争が起きがちとなる。中国はすでにこの危険水域に入っており、すでに厄介な社会兆候が現れている。要するに、国の経済は拡大しているが、多くの人々は貧しくなったと感じ、不満を募らせている。特権を持つパワフルな利益団体やまるで企業のように振る舞う地方政府が、経済成長の恩恵を再分配して、社会に行きわたらせるのを阻んでいるからだ。経済成長と引き替えに共産党の絶対支配への同意を勝ち取る中国共産党(CCP)の戦略はもはや限界にきている。CCPが経済成長を促し、社会的な安定を維持していくことを今後も望むのであれば民主化を進める以外に道はない。

女性を助ければ、途上世界が救われる

2010年3月号

イソベル・コールマン 元米外交問題評議会(CFR)シニア・フェロー

途上国の女子教育への投資は、経済成長を促し、貧困の悪循環を断ち切るうえで極めて有効な策だ。教育を受けた女性たちの場合、一人あたり出生数は少なく、産婦死亡率も低く、彼女たちは、家族の食事、健康、教育にも力を入れる。その結果コミュニティー全体に好循環が生まれる。こうした事実に世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、CAREといった主要な援助機関だけでなく、企業も気づき始め、途上国の支援対象としての女性の役割に注目するようになった。女性のエンパワーメント(権利擁護と社会的解放)を大きな社会経済的成果へと結びつけた中国とルワンダという実例もある。途上国の女性への教育に援助の焦点を合わせるべき根拠は数多くある。

CFRミーティング
新たな世界経済のシステミックリスクとしての各国の財政赤字

2010年3月号

セバスチャン・マラビー 外交問題評議会シニア・フェロー(国際経済担当)

危機を前に「世界各国の政府が金融機関の救済に乗り出したが、いまや、政府に打つ手はなくなり、その結果、政府そのものが弱い立場に追い込まれ、これが新たなシステムの不安定化要因と化している恐れがある」。ギリシャのケースからも明らかなように、市場が財政赤字に対して警告を発するようになったからだ。各国政府がグローバル経済を支えていくやり方はティッピング・ポイント(限界)に近づきつつある。また、ドルの先行きも不安定だ。ユーロ安ドル高に振れているとはいえ、投資家は、アメリカの財再赤字の増大、高い失業率、禁輸緩和政策ゆえに、ドルの安定も疑問視している。「誰もがドルに代わる代替策を探しつつも、ドルに依存せざるを得ない現状に対して割り切れない思いを抱いている。だが、何か具体的にみえてきたら、誰もがそれに飛びつくだろう。問題は、そのタイミングがいつになるかだ」・・・・(聞き手は、ロヤ・ウォルバーソン、CFR.orgのStaff Writer)

台湾がアメリカを離れて中国の軌道に入るべきこれだけの理由
―― 台湾のフィンランド化を受け入れよ

2010年2月号

ブルース・ジリー ポートランド州立大学行政大学院准教授(政治学)

かつてフィンランドがソビエトの懐に入り、西側と東側の和解の橋渡しをしたように、台湾がフィンランド化して中国の軌道に入れば、その存在が、中国における前向きの変化をこれまで以上に刺激し、中国が平和的に台頭する可能性を高めることができる。すでに、台湾は事実上のフィンランド化路線をとっているし、中国も台湾のことを、これまでのようにナショナリズムではなく、戦略地政学の観点から冷静にとらえるようになった、これまでワシントンと北京の対立の矢面に立たされてきた台湾と中国の関係の実態は大きく変化している。今度はワシントンが、この歴史的シフトを直視し、それに適応していく番だろう。

CFR Briefing
中央・南アジアにおける中国の地政学的思惑

2010年2月号

エバン・フェイゲンバーム 米外交問題評議会東・中央・南アジア担当シニアフェロー

中央アジア諸国は地政学的な理由から、中国との関係を好ましく思っている。中央アジア諸国にしてみれば、この2~3世紀にわたってこの地域を支配してきた外部パワー、つまり、ロシアに対する対抗バランスとして中国を利用できるからだ。一方、中国は、新疆ウイグルの分離独立を押さえ込むために、中央アジア諸国と協調するとともに、この地域の経済交流・改革ネットワークの中枢に新疆ウイグル自治区を位置付けたいという思惑がある。南アジアはどうだろう。パキスタンの不安定化という懸念を北京がワシントンと共有しているとは思えない。中国は、パキスタンの国内動向については、それほど気にしていない。かたや、インドはその防衛計画の中枢をパキスタンから中国へと移しつつある。戦略抑止力の信頼性が議論され、核実験をもう一度行うべきか、包括的核実験禁止条約(CTBT)はこの観点からどのような意味合いをもつかが議論されている。中国のインド戦略も、インドだけでなく、新たな米印関係というファクターが持ちまれたことで、流動化している。・・・・

サイバー攻撃に対する防衛策を
―― サイバーインフラの多様性を高めてリスク管理を

2010年2月号

ウェズリー・K・クラーク 元NATO軍最高司令官 (1997年~2000年)
ピーター・L・レビン DAFCA社最高技術責任者

サイバー攻撃は相手を攻撃するための魅力的な選択肢だ。陸上交通や航空の管制、電力の生産・供給、水道・下水道処理の制御、電子コミュニケーション・システム、さらには、高度に自動化されたアメリカの金融システムなど、国家にとって重要なインフラを、敵対勢力が遠隔地からサイバー攻撃のターゲットにする危険もある。ソフトウェアに対する攻撃は一般に認識され、対策も進められているが、ハード部門の防衛対策は遅れている。(誤作動を起こすように)欠陥を埋め込まれた集積回路は、ソフトウェアとは違って、パッチをあてて修復するのは不可能であり、これは、ふだんは市民になりすまして生活し、いざとなればテロリストの本性を現す究極の「スリーパー・セル」のようなものだ。サイバー攻撃の脅威を完全に封じ込めるのはもはや不可能だが、リスクを管理していくにはシステムの多様性を高めるとともに、開放的なオープンリソースの問題解決方法に学んでいく必要がある。

CFR Meeting
中国政府は現状維持を優先し問題解決を先送りしている
― 政治改革、公衆衛生、少数民族問題

2010年1月号

◎スピーカー
ミンシン・ペイ/クレアモント・マッケンナ・カレッジ教授
ヤンゾン・ファン/シートンホール大学 グローバルヘルス研究所ディレクター
ケリー・クーリエ/プロジェクト2049研究所非常勤フェロー
◎モデレータ
ジョン・ポムフレット/ワシントン・ポスト紙外交記者

政府はより開放的なシステムへと移行していくのを助けるような政治的流れを抑え込んできた。流れを抑え込んできただけに(圧力は大きくなっており)、今後政治的危機が起きれば、それが急激な変革につながっていく可能性は高いと思う。(M・ペイ)

H5N1、H1N1への中国の対応に関する私の研究では、地方の公衆衛生当局は依然としてカバーアップ、情報操作、不作為という問題行動をとっている。(Y・ファン)

21世紀のエネルギー安全保障秩序を考える
――エネルギー市場にもグローバルなルールを

2010年1月号

デビッド・ビクター
カリフォルニア大学教授
リンダ・ヨー
オックスフォード大学フェロー

エネルギー資源およびその関連技術は世界的に取引されているが、これらの重要な資源や技術をうまく管理していくための国際システムは分散化し、次第に無力化している。グローバルレベルの国際的な金融、貿易枠組みがうまくいっていることからみても、エネルギー領域でもグローバルなルールを導入すべきだろう。国際エネルギー機関を関与させたエネルギー安定理事会を立ち上げ、そこに間違いなく中国やインドを関与させて、資源の投資、開発、調達に関する市場ルールを協議し、あわせてグリーンニューディールをめぐる国際協調も試みるべきだ。このままではエネルギー市場が危機に直面するのは避けられない。

世界の自動車産業の再編はいかに行われたか
―― GMと日産のケース

2010年1月号

スピーカー
カルロス・ゴーン ルノー・日産アライアンス会長
スティーブン・L・ラットナー 前米財務省自動車作業部会主要顧問
モデレータ
デビッド・ブロンシュビッグ 米外交問題評議会シニア・フェロー(非常勤)

最終的に、政府が介入しなければ、GMとクライスラーは資金不足に陥るのは分かっていた。民間市場での資金調達は望めない。・・・負債による資金調達さえ望めない状況だった。資金を投入しなければ、すでに月に80万人のペースで失業者が出ていた中西部の工業地帯でさらに300万人が失業することを意味した。政府は、そのような事態は受け入れられないと判断した。(S・ラットナー)

アメリカの自動車メーカーは、他国の企業のやり方に目を向けなかった。相手に学ぶことはないと思えば、すでにあなたはその段階で敗れている。白黒がでるまでの時間の違いはあるだろうが、必ず敗者になる。・・・今回の危機から学ぶ教訓があるとすれば、われわれは中国、インドの自動車メーカーの動向に注目する必要があるということだ。そうしない限り、われわれもまた、米企業と同じ間違いを犯すことになる。 (C・ゴーン)

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