CFR ブリーフィング
有志同盟でシリア紛争への対応を
2012年8月号
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2012年8月号
2012年8月号
2010年に2桁の経済成長を遂げたにもかかわらず、いまやインドの経済成長は鈍化し、財政赤字が拡大し、インフレも上昇している。民族と宗教を超えた国づくりも行き詰まり、所得格差が拡大している。わずか2年前には「輝かしい未来が待っているのは間違いないと思われたインドの空の半分には、いまや暗雲が立ちこめている」。実際には、2009年当時と同様に、インドは今も世界の経済大国の仲間入りを果たす力を持っている。問題は政治が経済成長を邪魔していることだ。最近のインドで頻発している社会騒乱の多くは、インドの台頭によって民衆の期待が高まったにもかかわらず、ニューデリーがその期待に応えることができずにいることが原因だ。人々は政治家が経済運営に失敗し、社会保障システムを機能させられずにいることにあきれ果てている。しかも、政治家たちは失敗を認めて政治倫理の回復に努めるどころか、責任逃れに終始している。現在の「インド病」の原因はここにある。
農業やエネルギー部門のように、産業利益を戦略的に定義している産業は、その利益を的確に見極めた上で、特定アジェンダの実現に向けてロビイングを展開する。だが、ハイテク部門は、政治的中枢から遠く離れ、業績の浮き沈みが激しく、集団的行動よりも個人の好みを優先する文化を持っている。このため、産業単位で政治的集団行動をとるのが決してうまいとはいえない。・・・だが、アメリカ経済の中枢はすでに製造業からハイテク・フロンティアへと移動している。ハイテク産業の指導者たちは、自分たちにとって好ましい外交政策がどのようなものであるべきかについての枠組みを定義し、シンクタンク、大学、政府のあらゆるレベルに接触し、自分たちが好ましいと考える政策の具体像を伝え、政策として具体化していく必要がある。・・・政府も農業や製造業の利益ばかり考えていればよかった時代がすでに終わっていることを認識する必要がある。
ギリシャの財政赤字隠蔽問題に端を発する危機は瞬く間に周辺国のソブリン債務危機と化していった。いまやユーロ危機はいくら救済策をとっても火を消せないヨーロッパ全体を覆う銀行危機へと姿を変えつつある。ここで銀行を救済すれば、公的部門の債務はますます肥大化し、今度はフランスを含む、ヨーロッパ主要国がソブリン危機に直面する危険さえある。かたや、緊縮財政への反発からヨーロッパの政治の流れは変わり、すでにマーストリヒトのルールは放棄されている。「ギリシャ後」もユーロは存続できるのか、そしてEUはユーロショックに政治的に持ち堪えることができるのか。世界経済を揺るがすユーロ危機の全貌。
2012年7月号
もっとも多くの利益をもたらす違法行為に手を染めているのは、犯罪のプロだけではない。いまや政府高官、政治家、情報機関や警察のトップ、軍人、そして極端なケースでは国家元首やその家族たちも違法活動に関わっている。世界各地で、犯罪者がこれまでにないレベルで政府に食い込み始める一方で、パワフルな犯罪組織を取り締まるどころか、政府が犯罪組織に代わって違法活動を行っている国もある。こうして犯罪組織と政府が融合した「マフィア国家」が誕生している。実際、ブルガリア、ギニアビサウ、モンテネグロ、ミャンマー(ビルマ)、ウクライナ、ベネズエラなどでは、国益と犯罪組織の利益が結びついてしまっている。犯罪組織が最初に狙うのは、腐敗した政治システムだ。中国とロシアは言うまでもなく、アフリカや東ヨーロッパ、そしてラテンアメリカ諸国の犯罪者たちは、従来の犯罪組織では考えられなかったような政治的影響力を手にしている。もちろん、政府そのものが犯罪行為を行う北朝鮮のような国もある。
2012年7月号
TPPは中国を警戒させ、アジア地域を競合する敵対的なパワーブロックへと分裂させると憂慮する専門家がいる一方、「日本、アメリカ、オーストラリアを含むTPPは(中国の台頭に対する)健全な代替策になる」という見方もある。さらに、二国間自由貿易や(TPPのような)地域的自由貿易構想は、世界貿易機関(WTO)が主導するグローバル貿易を損なってしまうと批判する専門家もいる。・・・
2012年7月号
TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉が実を結べば、アメリカは次世代にむけて政治的にも経済的にもはるかに力強い存在になる機会を手にする。日本が合意に参加すれば、実質的に日米自由貿易合意が誕生し、日本にとっても長く模索してきた「第3の開国」になる。より広範には、アメリカ政府は、TPPを合意されたルールに基づく、開放的で相互につながった貿易の基盤にしたいと考えている。だからこそ、アメリカ政府は2012年末までに合意のアウトラインを確定することを望んでいる。だがそのためには、まずアメリカ国内の反対、特に自動車産業、保険産業、農業団体の反対を克服しなければならない。ワシントンは、可能な限り、知的所有権を含むアメリカの立場に対する内外の懸念に応えていくべきだし、交渉プロセスの透明性を高めていかなければならない。そうしない限り、TPP交渉は決裂する恐れがある。
2012年7月号
ユーロゾーンの分裂が近いうちに現実になるかどうかに関わらず、一つだけたしかなことがある。それは、危機が具体化し始めてから現在まで、その気になれば、ドイツは通貨同盟を救う力を持っていたし、現在もそうであることだ。つまり、ユーロが解体するとすれば、それはドイツが解体を選択した場合ということになる。ドイツはどちらの方向に進むべきか困惑しているようだ。戦後の歴史に配慮すればヨーロッパ統合を維持することが重要だし、そうでなくても(ユーロの解体を認めて)強固なマルクを復活させれば、自国の輸出競争力は大きく抑え込まれてしまう。だが、ドイツの指導者たちは(ユーロを救うのに必要な)穏やかなインフレを認めることにアレルギーを示し、他国の債務や銀行システムを救済することを躊躇している。・・・
「ヨーロッパ」の寿命をあと3カ月とみているのはジョージ・ソロスだけではない。市場も同じ見方をしている。そして、ドイツの政策決定者の脳裏にあるのは、債務を抱え込んだゾンビがますますおぞましい姿で復活してくる悪夢のシナリオだ。・・・依然としてドイツの銀行のスペイン債務へのエキスポージャーは大きく、スペインで銀行破綻が広がればドイツの銀行も道連れになる。こうして、ドイツはこれまでの路線を少しばかり見直しつつある。だが、危機の結末を変化させるほど十分な変化ではない。ドイツは依然として反インフレ路線にこだわり、リーダーシップを引き受けるのを嫌がっている。1929年の恐慌が大きな広がりをみせたのは、イギリスには国際経済システムを安定化させる能力がなく、アメリカにはその責任を引き受ける意図がなかったからだ。このままでは1930年代の間違いを繰り返し、ECBがかつてのイギリスの役割を、ドイツがアメリカの役回りを演じることになりかねない。
「オフィスはシリコンバレーでなければならない。才能ある人材、投資家、スタートアップ企業はどうすればよいかを知る人々が集まっている。われわれのようなテクノロジー企業を立ち上げるつもりなら、ここシリコンバレーしかない」。バンプ・テクノロジーズCEO、デビッド・リーブ