多くの人は最近の欧米におけるポピュリスト政党の台頭は「2008年の金融危機とそれに続くリセッションの余波」として説明できると考えている。だが現実には、この現象は、市民の要請に応える政府の対応能力が低下していることに派生している。右派ポピュリストは移民問題と国家アイデンティティの危機を問題にし、左派ポピュリストは「政府と企業の腐敗、拡大する経済格差、低下する社会的流動性、停滞する生活レベル」を問題にしている。右派が脅威を誇張しているのに対して、左派の現状認識は間違っていない。問題は右派も左派もその解決策を間違っていることだ。民主政治体制の相対的安定を願うのなら、ポピュリストの不満に対処しつつも、彼らの処方箋では何も解決できないことを認識させる必要がある。
