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論文データベース(最新論文順)

高市ビジョンと地政学
―― 揺れ動く世界と日本の選択

2026年4月号

マイケル・J・グリーン シドニー大学 アメリカ研究センター所長

高市の戦略は「アメリカか、中堅国との連携強化か」という間違った二者択一を強いるものではない。むしろ、アメリカを中核に、アジアやヨーロッパへ広がる経済・安全保障のパートナーシップの広範な連合を築かなければならないという認識に基づいている。これが、中国の威圧に対抗する上で唯一の実行可能なアプローチだろう。彼女の目標は、アメリカとの安全保障関係をさらに強化することを軸に、より好ましい地域的パワーバランスを取り戻すことにある。そのビジョンは、揺るがされた世界秩序に直面する責任ある国家にとって、もっとも現実的な今後の道筋を示している。

プレサイス・マスの時代とドローン
―― シャヘドとルーカス

2026年4月号

マイケル・C・ホロウィッツ 外交問題評議会シニアフェロー (テクノロジー・イノベーション担当)。
ローレン・A・カーン ジョージタウン大学 安全保障・新興技術センター シニアリサーチ・アナリスト

戦闘機、戦車、巡航ミサイルといった高度な能力の開発・配備では依然としてアメリカが主導権を握っているが、監視用ならびに短距離・長距離攻撃用の低コストで自律性の高いドローンの開発・配備ではイラン、ロシア、ウクライナが先行している。そして、高価な兵器で安価な兵器を無力化するワシントンのやり方は持続不可能だ。拡張性のある低コストの精密兵器やセンサーの広範な配備で特徴づけられる「プレサイス・マス」の時代にあって、アメリカは「卓越した軍事能力以上のもの」を必要としていることを理解する必要がある。「ドローンが必要だ。それも大量に、今すぐに必要だ」。

ホルムズ海峡とイランの優位
―― 米国にまともな選択肢はない

2026年4月号

ケイトリン・タルマッジ マサチューセッツ工科大学 政治学准教授

イランは、機雷、ミサイル、ドローン、小型潜水艦、ドローンボート、武装高速艇を組み合わせて、ホルムズ海峡のタンカー航行を脅かすことをかねて計画してきた。これらによって、イランによる集中攻撃にさらされる空間がホルムズ海峡で形成され、これを解体するのは容易ではない。アメリカはイランによる機雷敷設を阻止することに集中し、より大規模な戦争からの出口を探るべきだ。そうしない限り、ワシントンは、ホルムズ海峡における船舶航行に対する妨害行為が、イランがかねてより準備し、今まさに展開しようとしている数ある対応策のほんの一部に過ぎないことを思い知ることになる。

未曾有のエネルギー危機
―― イランとホルムズ海峡

2026年4月号

マイケル・フロマン 米外交問題評議会 会長
ダン・ポネマン 元エネルギー省副長官
ジェイソン・ボルドフ コロンビア大学 グローバル・エネルギー政策センター所長

(ホルムズ海峡を経由しない)サウジアラビアのパイプラインの価値は(積み出し港である)ヤンブー輸出ターミナルのキャパシティによって制約される。このターミナルは最大で1日あたり約450万バレルを輸出できるように設計されているが、実際にはそれよりはるかに低い能力しかない。さらに、その輸出ターミナルやそこで積み込み可能なタンカーは、フーシ派の攻撃にさらされる危険がある。(ダン・ポネマン)

現状は、中国の長期的なエネルギー安全保障戦略の正しさを裏付けている。中国は、経済の電力化を促進することで石油輸入を抑制し、石炭や再生可能エネルギーなどの国内資源からより多くの電力を生産すること、そして約14億バレルに達する巨大な戦略石油備蓄を強化することに重点を置いてきた。(ジェイソン・ボルドフ)

いかなる手段を用いても、湾岸地域から十分な量の石油を運び出すことはできない。パイプライン、備蓄放出、浮体式貯蔵施設からの放出を考慮に入れても、おそらく1日あたり1000万バレル以上の供給不足が生じると考えられる。(マイケル・フロマン)

中国のスマートな権威主義
―― 魅力的な政治経済モデル

2026年4月号

ジェニファー・リンド ダートマス大学 政治学准教授

すでに中国は電気自動車、バッテリー、ドローン、ロボティクスといった産業における世界の技術最先端に到達している。しかも、社会・政治的統制を維持しつつ、こうしたイノベーションに成功している。統制を維持しつつ、イノベーションも実現する「スマートな権威主義」の指導者たちは、できるときには社会を開放し、やらなければいけないときには統制を強化する。調整が絶えず必要だとしても、このバランスを適切に保てば、イノベーションを促す「包括的な制度」がなくても技術革新が開花する。中国の「スマートな権威主義」の成功は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ベトナムなどの指導者にとって魅力的なモデルを提供している。

台北は、北京との管理された対話チャンネルを開く必要がある。信頼できる抑止力を維持し、現状の変更につながるかもしれない挑発的行動を避けるとともに、海峡間の開かれた対話チャンネルを再開・維持することで、紛争リスクを低下させられるからだ。アメリカにとっても、複雑な関係を管理する有能なパートナーは、常に安心感を与える必要のある依存国よりも好ましいはずだ。北京にとっても、台湾との安定した関係を構築することは、圧力をかけて台北をワシントンとの排他的な連携へと向かわせるよりも、すぐれたやり方だろう。鍵は透明性にある。二大国は台湾が相手国とどのような関係にあるかを理解する必要がある。それによって双方が台湾の安定と繁栄から恩恵を引き出せるようになる。

危険な世界にいかに備えるか
―― 問われる日本の安全保障戦略

2026年4月号

岡野正敬 前国家安全保障局(NSS)局長

いまや人々は、かつてより外交政策を注意深く見守り、自分の立場を支える情報を消費する傾向がある。それだけに、国家安全保障の実務を担当する者は、過去の担当者たち以上に、丁寧にその決定を社会に説明し、擁護していかなければならない。現在の脅威についての理解を社会と共有できなければ、日本が有効な対策を講じるのは難しい。安全保障上の複雑な脅威とアメリカとの新たな関係に適応していくには、強力な防衛力と情報力、そして経済力が求められる。しかし、緊張と分裂の少ない未来を築くためには、外交が必要になる。今こそ外交的エンゲージメントに力を入れるべきだと私は確信している。

キューバはどこへ向かうのか
―― アメリカの圧力とキューバの未来

2026年4月号

ルット・ディアミント トルクァト・ディ・テラ大学 国際関係学教授
ローラ・テデスコ セントルイス大学マドリード校 人文社会科学部副学部長

電力供給は停止し、ガソリンスタンドの待ち時間は数時間に及び、学校は休校し、病院は手術を中止している。ゴミが路上に山積みにされている。もはや、ハバナはほとんど対応能力をもっていない。実際、いつ崩壊してもおかしくはない。トランプが軍事介入に踏み切る可能性は低く、交渉と外交的圧力によってキューバの政治変革を試みるだろう。問題はそこからだ。革命は最終章に近づいているようにみえるが、その終わりがどのようなものになるか、そしてその後何が起こるかは依然としてわからない。

米中衝突を回避せよ
―― 瀬戸際からの後退を

2026年4月号

デビッド・M・ランプトン 米中関係全米委員会 前会長
王緝思 北京大学 名誉教授

「われわれ二人は両国における長年の研究者として、ほぼ60年にわたって米中関係の変動を経験してきた。両国が対立の影に覆われていることは理解している。しかし、米中の次の世代が新たな冷戦に突入する未来は何としても避けなければならないと考えている。周到な政策をタイムリーにとらなければ、現在の流れと競争に状況が支配され、世界的な帰結を伴う対立リスクを高めることになる。世界が必要としているのは、伝統的な米中エンゲージメントへの回帰ではない。両国を瀬戸際から後退させる、新しい関係の正常化だ」

トランプ政権と泥棒政治
―― 政治腐敗の手段と化した外交

2026年4月号

アレクサンダー・クーリー バーナード・カレッジ 政治学教授
ダニエル・ネクソン ジョージタウン大学 外交学部 教授

トランプは米外交を、自分の富を増やし、地位を高め、家族・友人・側近の小さなサークルに利益をもたらすために利用している。外交を支えるインフラを解体して、自分の親族や知人、友人に重要な外交交渉を委ねている。そこで生まれるのは、主権国家間の拘束力のある二国間合意というより、むしろ個人間の取り決めに近い。合意は意図的に曖昧にされることが多く、一部の要素は公表されるが、他の要素は後日明らかにされるか、あるいは完全に隠蔽される。このやり方が続けば、トランプ外交は、アメリカの立憲主義だけでなく、世界における民主主義の存続そのものを脅かす。

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