アフガンは再びテロの聖域と化すのか
―― グローバルジハードとナショナリズム
2021年10月号

すでにアルカイダはタリバン勢力と一体化し、合同で訓練し、共同作戦を展開しているとする見方もある。一方、タリバンとイスラム国との関係は不安定だ。「タリバンはアフガンのナショナリズムを優先して汎イスラム主義を放棄した」とISISは批判し、アルカイダとタリバンの双方に強く反発している。現実には、ジハード主義運動のなかで権力抗争が起きているとみるのが真実に近い。今後、タリバンはISIS司令官の取り込みを図り、忠誠を誓わない集団は粉砕していくつもりかもしれない。しかし、対テロ作戦上の最大の試金石は、タリバンが再びアルカイダが国際テロ攻撃の拠点としてアフガンを使用することを認めるかどうかだ。少なくとも、国際テロを支援するタリバンのインセンティブはそれほど大きくないだろう。アルカイダが実行した9・11の結果、米軍が介入してきたために、タリバンは20年にわたって権力を奪われ、米軍との戦闘で中枢のリーダーたちを失ってきたのだから。