1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

米国に関する論文

キッシンジャーとサマーズが描く米欧関係の未来像

2004年5月号

タスクフォース共同議長 ヘンリー・キッシンジャー キッシンジャー・アソシエーツ会長
ローレンス・サマーズ ハーバード大学総長 プロジェクト・ディレクター
チャールズ・カプチャン 米外交問題評議会シニア・フェロー

米欧関係は、これまでになく緊張した局面にある。ヨーロッパ人の多くは、アメリカ人はヨーロッパに悪意をもっていると考え、一方アメリカ人の多くはヨーロッパ人の行動に反発し、ヨーロッパ側の脅威認識を的はずれだと切り捨てる。ヨーロッパでは、アメリカというハイパー・パワーを封じ込めるべきだという議論さえある。イラク戦争開始直後の二〇〇三年三月、米外交問題評議会は、キッシンジャー元米国務長官、サマーズ元米財務長官を共同議長に迎え、新しい局面を迎えている米欧関係に関するタスクフォースを組織した。邦訳文は、二〇〇四年三月に公表されたリポートに関するプレス・ブリーフィングからの抜粋・要約。リポート本文、プレス・ブリーフィングの全文(ともに英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

境界線のない戦争
――対テロ戦争に戦時ルールを適用すべきか

2004年5月号

ケネス・ロス/ヒューマン・ライツ・ウオッチ事務局長

誰をどのような基準で「敵の戦闘員」とみなすのか。どのような状況でなら戦闘員を殺害したり、あるいは、裁判を経ずに無期限で拘束したりできる戦時ルールが適用されるのか。アメリカの軍事路線を対テロ「戦争」と呼ぶことで、ブッシュ政権は、平時に許されることと、戦時であれば容赦されることを区別する境界線を取り払ってしまっている。その役割も活動も闇の中で、特定の攻撃と個人の関係がはっきりしないことが多いテロ組織を一体どのような基準で判断すればいいのか。ブッシュ政権は、アメリカをより安全にしようと試みるなか、すでにすべてのアメリカ人、そして世界中の人々の自由に制約を加えている。

シーア派の歴史とイラクの未来

2004年5月号

イツハク・ナカシュ/ブランダイス大学歴史学助教授

ブッシュ政権が考える新生イラクのビジョンとシーア派が思い描く戦後イラクのビジョンの間には大きな開きがある。ワシントンは親米政権が率いる欧米型の民主的イラクを思い描いているが、シーア派、そして他のイラク人の多くは、自分たちの文化と伝統を反映する独立したイラク、ペルシャ湾における米軍の拠点として利用されないイラクの実現を望んでいる。

米大統領選挙と外交論争

2004年4月号

レスリー・H・ゲルブ/前米外交問題評議会会長

2004年の米大統領選挙では1972年以来30年ぶりに、外交問題が論争の焦点の一つにされるだろうと、レスリー・ゲルブ前米外交問題評議会会長は予測する。単独行動主義か、国際協調かが主要な争点とされるであろう今回の選挙でどちらを支持するかと聞かれれば、「私はケリーを支持する」とゲルブは民主党候補への支持を表明した。また、戦後のイラクについては、クルド人、スンニ派、シーア派を共存させるには、イラクを連合国家にするしかないと指摘した。ゲルブはすでにニューヨーク・タイムズ紙でイラク連合国家論を展開している。  

聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。  全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

アメリカ帝国のジレンマ

2004年4月号

ディミトリ・K・サイメス/ニクソン・センター会長

現実主義と理想主義のバランスのとれたアメリカの外交コンセンサスは、ベトナムの混迷を前に分裂した。1990年代までには、リアリストの力は衰退し、(自分たちの目的の実現だけを目指す)シングルイシュー志向の利益団体や非政府組織(NGO)が台頭し、テレビが造りだす情緒的なイメージも大きな影響力を持つようになった。その結果、アメリカの外交政策は、「理想主義的ながらも国益を重視する路線」から、「世界を改革しようとするグローバルな社会工学の手段」へと変化していった。「アメリカは世界中どこにでも民主主義を広めていく権利と義務がある。必要なら軍事力を行使することも辞さない」。この新しいユートピア的ビジョンが誕生したのは、このような文脈においてだった。

ブッシュ政権は開かれた社会に対する脅威だ

2004年4月号

スピーカー ジョージ・ソロス ソロス・ファンド・マネジメント会長
司会 チャーリー・ローズ 米公共放送(PBS)「チャーリー・ローズ・ショー」ホスト

世界的に有名な投資家ジョージ・ソロスがブッシュ批判を展開した。「アメリカは圧倒的なパワーを乱用して自分の意思を世界に押しつけようとしている」と。秋の大統領選については民主党のジョン・ケリー氏支持を明言した。邦訳文は、2004年2月18日にニューヨークの米外交問題評議会で行われたミーティング・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

真にリベラルな国際主義ビジョンを
――保守派から国際主義を奪還せよ

2004年4月号

スザンヌ・ノッセル 元米国連大使補佐官

9・11以降、リベラルな国際主義を乗っ取った保守派は、単独行動主義に人権や民主主義のレトリックをまとわせている。しかし、ブッシュ政権の軍事偏重主義は、彼らがハイジャックしているリベラルな国際主義の理念とは本質的に相いれるものではない。21世紀におけるリベラルな国際主義を再興させるために、リベラルな国際主義者は、共和党の政策決定者からこの思想を奪い返し、保守派に悪用されないようにしなければならない。自由・自由貿易・人権の促進という野心的なアジェンダに取り組んでいくことが、長期的には、テロリズムその他の脅威に対する安全を高めていく最善の方法である。

アメリカのパートナーシップ戦略

2004年1月号

コリン・L・パウエル 米国務長官

他国と対抗するために資源を投入するのではなく、すべての人が共有する問題の解決に向けて連帯できれば、人間の愚行から歴史を救い出すことができる。  

われわれは、人類が共有する問題であるテロリズムを、主要な国際関係の管理枠組みに組み込むことで、解決しようと試みている。大国間協調に配慮しつつ、テロとの戦いを遂行し、対テロ戦争を成功させることに配慮しつつ、大国との協調関係を強化している。われわれは、自由、人間の尊厳、平和を擁護する人々がわれわれの必然的なパートナーであるという事実を政策面での支えとしている。

米外交問題評議会インタビュー
イラクへのNATOと国連の関与を

2003年12月号

ロバート・ハンター クリントン政権米NATO大使  

「イラクの治安維持を北大西洋条約機構(NATO)の任務とし、文民行政を国連に委ねるべきだ」と主張するクリントン政権の米NATO大使、ロバート・ハンターは、この枠組みを整えれば、アメリカ市民に「われわれは一人ではない」と言えるようになるし、それによって、アメリカのイラクへの影響力が損なわれることもないと語った。問題は、アメリカがNATO及びその他の諸国からの支援を取り付けるために、権限、管理権を譲る準備ができているかどうかだ、と。
 ハンターはランド研究所の上席顧問。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター。二〇〇三年十二月八日)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

米外交問題評議会インタビュー
北朝鮮との協議はなぜ進展しないのか

2003年12月号

ジョセフ・シリンシオーネ カーネギー国際平和財団兵器不拡散プロジェクトディレクター  

「北朝鮮との交渉が決裂して混沌とした状況に陥っても仕方がないと考える者がブッシュ政権内にいるし、政権内外にいまなお北朝鮮危機の軍事的解決を求める者もいる」。北朝鮮政策をめぐっていまもブッシュ政権内に対立が見られることが、協議が進展しない理由の一つだと指摘するカーネギー国際平和財団のジョセフ・シリンシオーネは、アメリカ政府は「大統領の信任が厚く、大統領の立場になって交渉する権限を持つ特使を任命して」、アメリカの危機解決に向けた決意を世界に示す必要があると提言した。また、「六者協議が始まるまで、また始まって以降も北朝鮮の真意は闇の中かもしれないが、少なくとも、中国がどの段階で(仲介者としてではなく、プレイヤーの一人として)交渉への関与を深めるかが今後の大きな鍵となろう」とコメントした。シリンシオーネはカーネギー国際平和財団の兵器不拡散プロジェクトのディレクター。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター。二〇〇三年十二月十日)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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