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南米に関する論文

キューバはどこへ向かうのか
―― アメリカの圧力とキューバの未来

2026年4月号

ルット・ディアミント トルクァト・ディ・テラ大学 国際関係学教授
ローラ・テデスコ セントルイス大学マドリード校 人文社会科学部副学部長

電力供給は停止し、ガソリンスタンドの待ち時間は数時間に及び、学校は休校し、病院は手術を中止している。ゴミが路上に山積みにされている。もはや、ハバナはほとんど対応能力をもっていない。実際、いつ崩壊してもおかしくはない。トランプが軍事介入に踏み切る可能性は低く、交渉と外交的圧力によってキューバの政治変革を試みるだろう。問題はそこからだ。革命は最終章に近づいているようにみえるが、その終わりがどのようなものになるか、そしてその後何が起こるかは依然としてわからない。

体制変革と歴史の教訓
―― イラン、ベネズエラ、ガザ

2026年2月号

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

アフガニスタン、イラク、リビアでの惨憺たる失敗から考えれば、ベネズエラやイランなど、ここにきて体制変革論が突然、復活していることには驚かされる。少なくとも、政権打倒後の計画がなければ、壊滅的な事態に直面することは、歴史の教訓としてわかっている。だが、おそらくもっとも重要なのは、「対応を必要とする現象としての体制変革」と「特定の結末を得るための意図的な政策としての体制変革」をワシントンが区別することだ。ベネズエラ、ガザ、そしておそらくはキューバへのアプローチを考える上で重要なのは、他国におけるトランスフォーマティブな変化を作り出すのではなく、出現した機会を前にそれに対応し、支援することに焦点を合わせることだ。

マドゥロ後のベネズエラ
―― 今後の展開を検証する

2026年2月号

フランシスコ・ロドリゲス デンバー大学 教授(経済学)

「ワシントンが国(ベネズエラ)を運営する」というトランプの発言は、おそらく、米企業を現地で活動させ、ベネズエラ石油の管理権を掌握することを意図していると考えられる。石油産業の支配権を掌握できなければ、大統領が後退するとは考えにくい。いずれにせよ、米企業がベネズエラの石油産業を、そこがアメリカの保護領であるかのように運営するというシナリオにたどり着くだろう。トランプは今回の攻撃を民主主義ではなく、石油をめぐる問題として位置付けているようだが、これは重大な誤りだ。石油資源をアメリカに譲渡するように求めれば、ベネズエラ社会は(アメリカに)大きな敵意を抱くようになる。

ベネズエラの体制変革について
―― 西半球シフトと勢力圏構想への意味合い

2026年1月号

マイケル・フロマン 米外交問題評議会 会長

トランプ大統領がベネズエラに再び焦点を合わせたことは、「パナマからカナダ、グリーンランドに至るまでの勢力圏」という大統領の世界観、そして基本的に米本土と国境の防衛に焦点を当てるという立場と重なり合う。だが、西半球を優先する方針は、戦後アメリカの支配的優位を支えてきたヨーロッパやインド太平洋諸国との同盟関係を、潜在的に従属させ、狭めてしまうのだろうか。アメリカは太平洋の勢力としてとどまるのか、それとも、習近平国家主席との「大きな取引」を模索して、西半球に専念するのか。

マドゥロ追放策のリスク
―― アメリカとベネズエラの未来

web exclusive

フィル・ガンソン 国際危機グループ(ICG) アンデス地域上級アナリスト

マドゥロ大統領の追放をめぐり、アメリカやベネズエラの反体制強硬派は軍事的圧力を強めている。だが、武力による体制変革はさらなる混乱や暴力を招き入れるリスクが高い。ベネズエラ人の圧倒的多数がマドゥロの退陣を望んでいるとしても、アメリカと反体制派は、国際的な支援を受けた包括的な交渉をマドゥロ政権と進めるべきだろう。ベネズエラ国内には政権崩壊に抵抗する武装集団が多数存在するし、軍の一部がさらに抑圧的な指導者を権力に据える危険もある。実際、暴力的な手段はさらなる混乱や市民への抑圧を招くリスクが高い。

「グローバルサウス」の問題点
―― 欧米諸国の思い込みと誤解

2024年5月号

コンフォート・エロー 国際危機グループ会長

現在の欧米における多くの政策論争では、「グローバルサウス」の存在が既成事実とみなされている。だが、グローバルサウスをまとまりのある連合としてとらえると、各国の個別の懸念を単純化したり、無視したりすることになりかねない。ブラジルやインドとの関係を強化すれば、他のグローバルサウス諸国も後からついてくると考えられている。これでは、債務、気候変動、人口動態、国内暴力など、各国の政治を形作っている固有の圧力がみえなくなってしまう。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々を地政学的ブロックとして扱っても、彼らが直面する問題の解決にはつながらないし、アメリカとそのパートナーが求める影響力を確保することもできないだろう。

経済安全保障とラテンアメリカ
―― 中国に代わるサプライチェーンの確立を

2024年4月号

シャノン・K・オニール 米外交問題評議会 副会長(研究担当)

アメリカは重要鉱物の80%を外国から調達しており、ニッケル、マンガン、グラファイトといったバッテリー製造に使われる鉱物はとくに中国に大きく依存している。マイクロチップの60%、そして最先端の半導体チップの90%は、中国の脅威にさらされている台湾で製造されている。こうした現状には大きなリスクがある。しかし、われわれはラテンアメリカに目を向けることができる。南部国境以南の国々について、「良いフェンスが良い隣人をつくる」と考えている米指導者もいるかもしれないが、それは、大きな間違いだ。ラテンアメリカをサプライチェーンに深く統合せずに、経済的な同盟国をアジアやヨーロッパという遠くに求め続ければ、ワシントンは、さらに大きな中国の影響力が裏庭におよぶことを後押しすることになる。

ハビエル・ミレイがアルゼンチンを変える?
―― 過激なリーダーシップの可能性とリスク

2024年1月号

ブルーノ・ビネッティ インターアメリカン・ダイアログ 非常勤フェロー

アルゼンチン大統領に就任したハビエル・ミレイは、中央銀行の閉鎖や米ドルを自国通貨として採用するといった極端な公約の多くからは、すでに後退をみせている。それでも、大統領としてのミレイに立ちはだかる課題は非常に大きい。この国が何十年にもわたって陥ってきた衰退と不安定の連鎖を断ち切るには、政権奪取の際にみせた大胆さだけでなく、妥協し、不必要な争いを避け、過去の改革の試みから学ぶ姿勢が必要になるし、経験と知識ある人々を迎え入れなければならない。現実的でありつつも、毅然とし、新しい概念に開放的で、掲げた目的に確信をもっている必要がある。これまでの多くの大統領と同じように、ミレイが失敗すれば、アルゼンチンはこのような改革のチャンスには長期的に巡り会えないかもしれない。

欧米世界とグローバルサウス
―― 失った信頼を回復するには

2023年7月号

デービッド・ミリバンド 元イギリス外相

欧米と「その他の世界」のビジョンの間には大きな溝が存在する。非欧米世界で、「ウクライナの自由と民主主義のための闘いは、自分たちの闘いでもある」という欧米の主張を受け入れる国はあまりない。これは冷戦後の欧米によるグローバル化の管理ミスに対する途上国の深いいらだち、実際には怒りの産物に他ならない。グローバルサウスは、欧米のダブルスタンダードに怒りを感じ、国際システムの改革が停滞していることに苛立っている。欧米とその他の世界のビジョンとの間にこうした溝が存在することは、気候変動、パンデミックという巨大なグローバルリスクに直面する今後の世界にとってきわめて危険であり、その根本原因に対処しなければ、溝は広がる一方だろう。

ウクライナ戦争とグローバルサウス
―― 多極世界における途上国の立場

2023年6月号

マティアス・スペクター ジェトゥリオ・ヴァルガス財団 教授(国際関係論)

インド、インドネシア、ブラジルからトルコ、ナイジェリア、南アフリカにいたるまで、世界の途上国の多くは、ウクライナ戦争を含めて、主要国との厄介ごとに巻き込まれるのを避け、将来への保険、リスクヘッジ策をとるようになった。物質的な譲歩を得るためだけでない。自らの地位を高めるためにリスクヘッジ策をとり、多極化を国際秩序における地位向上のチャンスとして前向きに捉えている。欧米は、グローバルサウスの主要国が北京やモスクワの政策に幻滅しつつあることが作り出す機会にもっと注目すべきだろう。主要途上国は、気候変動対策だけでなく、世界経済の混乱を阻止する上でも、中国の台頭やロシアの復権を管理していく上でも欠かせない存在だ。・・・

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