ウクライナ危機とイラン核合意再建交渉
WEB限定掲載論文

いまやイラン核合意再建交渉は山場を迎えつつも、ウクライナ危機によって、交渉の先行きは不透明化している。合意再開がまとまれば、イランに対する経済制裁は解除されるが、ロシア側が「ウクライナ侵攻でロシアに課された制裁対象にイランとの貿易を含めないように要求したからだ」。交渉が中断されたと伝える報道もあれば、ロシアの要求が受け入れられたという報道もある。一方で、ロシアのウクライナ侵攻はイラン国内の分裂をはっきりと表面化させている。最高指導者のハメネイ師は、ロシアの侵略は「アメリカの責任だ」と、ワシントンを批判し、一方、穏健派の政治家たちは「イランはロシアによるウクライナ攻撃を非難して独自性を示さなければならない」と考えている。イランとロシアの関係は常に便宜的な同盟で、共通の価値によって結ばれているわけではない。