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ロシアに関する論文

ハートランド対リムランド(下)
―― リムランドはまとまれるのか

2026年8月号

マイケル・ベックリー タフツ大学 政治学准教授
ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学 特別教授

リムランド経済は、ハートランド経済よりも規模が大きく、先進的であるだけでなく、より自立した世界経済として機能できる多様性も備えている。だが、リムランドの最大の強みである「多様性」は、一方では弱点でもある。脅威への共有認識が希薄で、インドやサウジのような二股国家を内に抱え、アメリカへの信頼も失墜している。課題は、リムランドを拡大することではない。いかに一体性、一貫性を高めるかだ。現在、問われているのは、リムランドがまとまりのあるパワーの中枢として行動するのか、それとも緩やかで脆弱な集合体のままであるのかだ。

ハートランド対リムランド(上)
―― 次の世界秩序をめぐる抗争

2026年8月号

マイケル・ベックリー タフツ大学 政治学准教授
ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学 特別教授

中国・ロシア・イラン・北朝鮮などの「ハートランド」勢力が、軍事・経済・技術・デジタルネットワークを通じて米主導の「リムランド」秩序に挑戦している。アメリカ、欧州、東アジアなどのリムランド連合は、経済規模、技術力、市場、金融・資源面で優位にあるが、その力を戦略的に組織化できていない。ハートランド勢力は「領土的な勢力圏に分割され、産業上のチョークポイントで支配される世界」を望んでいる。現状で問われているのは、リムランドがまとまりのあるパワーの中枢として行動するのか、それとも緩やかで脆弱な集合体のままであるかだ。国際秩序を有利に形作れるかは、リムランド連合がそのパワーを戦略に転換できるかにかかっている。

朝鮮半島有事に備えよ
―― 北朝鮮の強大化と国際化した対立構図

2026年7月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学 フリーマン・スポグリ国際研究所 センターフェロー

平壌が韓国を侵略すれば、その紛争は、北朝鮮と「アメリカが支援する韓国」との戦いにとどまらず、ロシアや中国も巻き込んでいく。ワシントンは、朝鮮半島の平和維持という任務が抜本的に変化していることを見落としている。いまや平壌を抑止するには、北京とモスクワも抑止しなければならない。この危険な局面でワシントンが後退すれば、戦争のリスクはさらに高まり、アメリカは北朝鮮、中国、ロシアという相手のすべてが核保有国との紛争に巻き込まれかねない。一方で、ソウルが戦争のリスクを懸念しながらも、ワシントンの防衛コミットメントを疑い、懐疑的だとすれば、ワシントンの軌道から離れるような抜本的な措置をとらざるを得ないと判断するかもしれない。

戦いが終わるとき
―― イランとベトナム、ウクライナと朝鮮

2026年7月号

ギデオン・ローズ 米外交問題評議会 シニアフェロー(非常勤)

イラン戦争はベトナム戦争と、ウクライナ戦争は朝鮮戦争と似た構造をもっている。その終わり方も似たものになるだろう。イランは、かつての北ベトナムと同様に頑迷なまでに(交渉に)非協力的で、共に耐え忍ぶ競争に勝つことに賭けている。次に起こりそうなのは、戦闘を停止し、船舶の航行を再開させつつ、その他の多くの争点については曖昧にしたり、解決を先送りしたりする不安定な合意が成立することだ。一方、ウクライナ戦争は、激しい消耗戦の果てに前線(紛争ライン)を固定化する妥結で戦闘が終わる可能性が高い。交戦国が疲弊し、状況への絶望を深めれば、膠着状態を前に和平合意の可能性は高まる。最終的に、大国が紛争当事国に妥協を受け入れさせることが多い。

※この分析は、アメリカで5月20日に、日本語のデジタルマガジンで5月23日に公開されたものです。

ロシアのオーウェル的監視社会
―― 戦争と『1984』

2026年2月号

ニーナ・フルシチョワ ニュースクール大学 教授(国際関係学)

ロシアでは何が禁止され何が許されているのか、誰も正確に把握していない。それでも、この4年間であらゆる規制が拡大された。モスクワは、恐怖と不安を蔓延させることで、多くのロシア人を沈黙させるだけでなく、互いを黙らせるように仕向けている。そして、「伝統的な価値の保存」を命じる大統領によって、実質的に西洋文明を構成するすべての要素が拒絶されている。政府の批判派は外国のエージェントとみなされ、弾圧される。この状況のなかで、政治家も市民も、集団的狂気に駆られたかのように抑圧的な規則を次々と生み出している。

新たなユーラシア秩序
―― 進化する中ロ連携と米同盟関係の再編

2025年12月号

ジュリアン・スミス 元NATO米大使
リンジー・フォード 前米国家安全保障会議 上級部長

中ロが秩序形成で連携し、ユーラシアでより統一された競争空間を作り出している。これに対し、アジア・ヨーロッパ諸国は連帯し、急速に相互関係を変化させている。こうした新しいネットワークは、ワシントンがそれにどう関わるかで、アメリカの利益にプラスにもマイナスにも作用する。だが、ワシントンは、アジアとヨーロッパの同盟諸国に(歩み寄って連携するのではなく)自分の地域に留まるようにと促している。現実には、アジアとヨーロッパの境界線は曖昧になりつつある。アメリカは同盟諸国が構築する新たなネットワークに抵抗するのではなく、それへの影響力を適切に行使すべきだろう。

再生したロシア軍
―― 戦闘経験から学習・応用へ

2025年11月号

ダラ・マシコット カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

2022年にウクライナ侵攻を開始した当時、ロシア兵たちは与えられた任務に必要な訓練さえ受けていなかった。そもそも戦争で戦うことさえ知らされていなかった。指揮系統も正常には機能しなかった。だが、もはや、当時を前提に状況を捉えることはできない。すでにロシア軍は学習組織への変貌を遂げている。モスクワは戦闘経験を蓄積・分析し、そこから得た教訓を軍および国防エコシステム全体に拡散している。戦時経験を体系的に把握し、制度に組み込むとともに、戦後の軍改革につなげようとしている。AI意思決定システムとAI搭載兵器をどのように実戦配備するかの検討もすでに開始している。

ウクライナへのNATO部隊の派遣を
―― ウクライナと欧州を守るには

2025年10月号

アイヴォ・H・ダールダー 元駐NATO米大使

ヨーロッパのジレンマは、ウクライナを安心させるという決意を具体的な計画にどう結びつけていくかにある。アメリカの貢献が、よくても最小限のものに留まるとしても、ヨーロッパはウクライナの長期的な安全保障を確立するために、部隊を投入する必要がある。ウクライナへの侵略がNATO圏へ拡大してくるリスクを考慮し、ヨーロッパによるウクライナへの戦力展開はNATOの作戦、つまり、NATOによって計画・承認され、指揮される作戦として実施しなければならない。ヨーロッパの指導者が指摘するように、ウクライナの安全を守ることが、ヨーロッパの存亡を左右するのだから。

北極圏のグレートゲーム
―― 米中ロの大国間競争

2025年9月号

ヘザー・A・コンリー 元米国務次官補(ヨーロッパ担当)

トランプは大統領就任後、北極圏における領土獲得の可能性に照準を合わせ、カナダを「51番目の州」と呼び、デンマーク領のグリーンランドについては「いずれにせよ」アメリカが「獲得する」と宣言した。今後の展開がどうなろうと、北極圏の重要鉱物、海上航路、漁業、天然資源、海底採掘、衛星通信をめぐる大国間の争いが発生するのは避けられない。ロシアと中国に比べて、アメリカは大きく出遅れている。北極圏戦略の欠陥と矛盾を早急に解決する必要がある。

新勢力圏の形成へ
―― 大国間競争から大国間共謀へ

2025年6月号

ステイシー・E・ゴダード ウェルズリー・カレッジ 政治学教授

中国やロシアと競争するのではなく、トランプ政権は中ロと協力することを望んでいる。トランプの世界観が大国間競争ではなく、「大国間共謀(great power collusion) 」、つまり、19世紀の「ヨーロッパ協調」に似ていることは、いまや明らかだろう。こうして、アメリカの外交路線は、ライバルとの競争から、温厚な同盟諸国をいたぶる路線へ変化した。他の大国から有利な譲歩を引き出すために、トランプがビスマルクのような外交の名手になる可能性もある。しかし、ナポレオン3世のように、よりしたたかなライバルに出し抜かれてしまうかもしれない。

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