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中東に関する論文

米欧関係修復の試金石としてのイラク再建

2003年8月号

アンドリュー・モラブシック ハーバード大学政治学教授

ヨーロッパはアメリカの軍事パワーを必要とし、アメリカはヨーロッパのシビリアン・パワーを必要としている。相互補完的な関係にあるこれらのパワーをうまく組み合わせて共通の目的に向かわせ、新たな安全保障上の脅威に対抗できるようにすることが重要だ。
ワシントンは介入には多国間協調が必要なことを認め、一方、ヨーロッパはアメリカのパワーに対する反発を抑え、紛争の予防や戦後復興への関与に伴う重荷の多くを引き受けなければならない。

イラク危機とブレアの深い悩み

2003年8月号

スティーブン・フィリップ・クレーマー 米国防大学歴史学教授

イギリスがイラク戦争をめぐってアメリカとの関係を維持したのは、「特別な関係」を維持してイギリスが傍らにいなければ、アメリカは自制心を失って手がつけられなくなる恐れがあると考えたからだ。
イギリスをヨーロッパに織り込みつつ、新たな対米関係のバランスを見いだすというブレア構想は、イラク危機によって大きなジレンマを抱え込んでしまった。

サダム後の湾岸の安全保障を考える

2003年8月号

ケニース・M・ポラック
ブルッキングス研究所・中東研究センターディレクター

サダム後のペルシャ湾岸の安全保障をどうするか、現地でのアメリカの軍事プレゼンスをどうするかは大きな課題であり、この課題を考えていく上で正面からとらえるべきジレンマが三つある。第一は新生イラクの再軍備をどこまで認めるかということ。強すぎても、弱すぎてもいけない。第二はイランの核開発計画。そして、第三はバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジ、アラブ首長国連邦といった湾岸協力会議(GCC)諸国が政治的に不安定化し、国内的混乱に陥る危険があるということだ。

シーア派とイラクの未来

2003年7月号

イツハク・ナカシュ ブランダイス大学 歴史学助教授

ブッシュ政権が考える新生イラクのビジョンとシーア派が思い描く戦後イラクのビジョンの間には大きな開きがある。ワシントンは親米政権が率いる欧米型の民主的イラクを思い描いているが、シーア派、そして他のイラク人の多くは、自分たちの文化と伝統を反映する独立したイラク、ペルシャ湾における米軍の拠点として利用されないイラクの実現を望んでいる。

イスラエルとパレスチナ
―二国家解決策に向けたフェンス分離策を

2003年6月号

ユバル・エリズール イスラエル・マーリブ紙副編集長

イスラエルとパレスチナの問題は、軍事力でも、交渉でも解決できない。自爆テロとそれに対する軍事的報復という血塗られた二年間を経過したいま、イスラエルとパレスチナが必要としているのは、完全な分離策を通じた冷却期間であり、それを実現できるのは両者間にフェンスをめぐらすことによってだけだ。
物理的分離策がとられれば、最終合意へと至るような、より効果的な国際的調停への道も開かれる。フェンスは、双方に二国家解決策が唯一の現実的な選択肢であることを認識させ、この路線での問題解決を妨害しようとする暴力的な動きを阻止する効果がある。

パレスチナの信託統治を検討せよ
―「ロードマップ」以降の解決策は何か

2003年5月号

マーチン・インディク 元駐イスラエル米大使

自爆テロと軍事的報復作戦の悪循環によって、イスラエルとパレスチナは奈落の底へと突き落とされつつある。新たに表明された「ロードマップ」和平案も、いずれ失敗するのは目に見えている。
和平を阻む最大のジレンマは「パレスチナ側に責任ある交渉パートナーを誕生させ、パレスチナ治安部隊がうまく任務を果たせるようにしない限り、イスラエル側の責任ある対応も引き出せない」という点にある。必要なのは、ロードマップではなく、このジレンマを唯一うまく断ち切れる「信託統治」のための見取り図だ。イラク戦争によってワシントンが得た新たな影響力を中東和平の実現に向けて生かすためにも、ロードマップ崩壊後の信託統治案をいまから準備しておく必要がある。

パレスチナの自爆テロを終わらせるには

2003年6月号

ガル・ルフト イスラエル国防軍中佐

パレスチナ人の多くは、これまでイスラエル国内の民間人を攻撃対象にすることには反対し、独立という目的をテロに訴えることなく実現しようとしていた。だが、いまや、自爆テロ路線が戦術として確立され、一方、イスラエルの報復攻撃も、テロ路線を煽り立てているだけだ。
どうすればテロに訴えることなく独立できるかをパレスチナが考えるのは正しいことだし、それによってイスラエルの安全も保障される。彼らがこの路線での希望を抱くようにならない限り、テルアビブはナチスと同じ運命をたどることになる。

米外交問題評議会リポート
アメリカは中東和平を調停すべきか

2003年6月号

スピーカー マーチン・インディク  元駐イスラエル米大使
ダニエル・パイプス 中東フォーラム・ディレクター
司会 チャーリー・ローズ

論文は、五月二日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティングの議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

米外交問題評議会ディベート
誰が世界と国連を引き裂いているのか
―戦後イラクと米欧対立の深層

2003年6月号

マイケル・ドーラン  米外交問題評議会 中東担当準シニア・フェロー
ギデオン・ローズ フォーリン・アフェアーズ誌副編集長

戦後イラクにおいて、国連の大量破壊兵器(WMD)査察チームは任務を再開すべきなのか。支持と反対の論拠は何か。国連査察の再開の是非をめぐるマイケル・ドーラン(米外交問題評議会中東担当準シニア・フェロー)とギデオン・ローズ(フォーリン・アフェアーズ誌副編集長)の論争が浮き彫りにする「奇妙な国際環境」における権力政治の実態。

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