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ヨーロッパに関する論文

GPS VS. ガリレオ
―― 米欧が競う衛星ナビゲーションの覇権

2003年8月号

デビッド・ブレオーンシュビッグ/米外交問題評議会準シニア・フェロー
リチャード・L・ガーウィン/米外交問題評議会シニア・フェロー
ジェレミー・C・マーウェル/米外交問題評議会リサーチ・アソシエート

正確な位置の割り出し(測位)、ナビゲーション(行路)、そしてタイミング・インフォメーション(リアルタイムの情報分析)を提供するGPSは、軍事領域だけでなく、商業、レジャー面でも大いに利用されている。だが、この便利な軍民共用の応用技術も、判断を間違えると、最終的には利用できなくなるかもしれない。GPSは、米国が管理する戦略的な軍事インフラであるとともに、経済的に大きな潜在力を持つ民間のグローバルなインフラでもあるという事実によって、いまや大きな矛盾を抱えこんでしまっている。ヨーロッパが開発をめざすガリレオは、こうしたパラドックスを正面から見据えてGPSに挑戦しようとしている。

単極構造世界と安保理の崩壊
―― 安保理はなぜ死滅したか

2003年5月号

マイケル・J・グレノン/タフツ大学フレッチャー・スクール国際法教授

米欧の対立劇が表面化する前から、すでに国連安保理の命運は尽きていた。第2次湾岸戦争が問題だったのではない。世界の権力構造そのものが、国連憲章が想定していた秩序から大きく様変わりしたのだ。地政学をめぐる唯一の「真理」とは、「国はパワーを模索することで、安全保障を確保しようとする」ということだ。この国家の本能的思惑を不器用に管理しようとする法的制度は、最終的にはこの「真理」によって淘汰されてしまう。各国は(好都合なら)法的制度をツールとして利用し、不都合なら無視する。国際的な法の支配の実現を再度求めるのなら、こうした国の行動パターンと単極構造秩序という現実を認識することが第一ステップとなる。

米欧対立とメディアの攻防

2003年4月号

リチャード・ランバート 元フィナンシャル・タイムズ紙編集委員

もはやワシントンは、ヨーロッパとの関係を維持していくことが重要だとは感じておらず、ブッシュ政権が大西洋両岸の橋を構築するために大きな努力を行うと考えるのは非現実的だろう。
だからこそ、ヨーロッパ人は自らの考えを示すために、決然と、一貫性のある努力をすべきであるし、史上初めて、そうできる立場を手にしている。20年前は国家の寄せ集めにすぎなかった「ヨーロッパ」も、いまでは大きな実績を持つ世界経済の原動力となっているのだから。

ヨーロッパの独自防衛は実現するか

2003年3月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所シニア・フェロー

ヨーロッパ諸国はコソボ紛争の顛末から、自分たちが軍事的にいかにアメリカに依存しているかを思い知り、大きな変革なしには状況を変化させられないことを認識した。
EUによる自立的防衛力を整備すれば、アメリカはヨーロッパにおける重荷を軽減できるし、ヨーロッパはより高い能力を持つパートナーになれる。
しかし今回の構想が、ヨーロッパの軍事力の不備を補うような軍事能力の向上ではなく、たんなる官僚制の強化につながり、NATOとの関係を複雑にしてしまうだけなら、ヨーロッパが全般的にいい方向に向かうとは思えない。

米外交問題評議会インタビュー
米仏対立とアラブの不安

2003年3月号

レイチェル・ブロンソン ブロンソン米外交問題評議会シニア・フェロー

以下は、湾岸地域での調査から帰米したレイチェル・ブロンソン米外交問題評議会シニア・フェローへのインタビュー。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。(聞き手はバーナード・ガーズマン、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)

米欧対立を埋めるには
――覇権下の反米主義とリーダーシップ

2003年3月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所シニア・フェロー

アメリカが積極的にリーダーシップを発揮しなければ、国際社会に行動を起こさせることはできない。だが、あまりに勇猛すぎると、それは傲慢な単独行動主義と化す。他の諸国は反発を強め、アメリカに続こうとはしなくなる。
米欧間の構造的・文化的なギャップが、アメリカの単独行動主義によってさらに広がりをみせている。一方で、アメリカは短絡的すぎると批判するだけで、真っ当な代替策を示さないヨーロッパも、大いに問題がある。アメリカもヨーロッパも、自分だけでどうにかできる時代ではないことを認識しなければならない。

ユーラシアに迫りくるHIVの脅威
――人的犠牲が伴う政治・経済・軍事的帰結

2003年1月号

ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所議長

HIV・AIDS危機の世界的中心はアフリカからユーラシアへと移動しつつある。サハラ砂漠以南の地域でのHIV危機は大きな人道的悲劇だが、それでも、その政治・経済的余波は世界的なものにはならなかった。だが、HIV・AIDSがユーラシア地域、特にロシア、中国、インドで蔓延するようになれば、まったく話は別だ。経済的、軍事的に途方もない規模での世界的余波が生じる。

GPSとガリレオ-協調か対立か

2002年11月

リチャード・ガーウィン  外交問題評議シニア・フェロー(科学技術担当)

今回の討論は、欧州連合(EU)が最近開発を進めている衛星ナビゲーション・システム(ガリレオ)について、また、ガリレオがアメリカの戦略的、政治的、経済的利益に与える影響について考察することを目的とする。アメリカとEUがGPSとガリレオとの間の互換性と相互運用性を確保するように協調するならば、ガリレオは世界中のユーザーが使用する衛星ナビゲーションとタイミングサービスの質を高めるだろう。しかし、協調しなければ、ガリレオはGPSに対する大きな脅威となり、世界中のユーザーに対して好ましくない影響を与えることになる。さらに、これらの二つのシステムが競合した場合、GPSを改良する努力を強化しない限り、最終的にガリレオが勝利を収めることになろう。

カスピ海資源開発の政治経済学

2002年4月号

ジャン・H・カリッキ ウッドロー・ウィルソン・センター研究員

カスピ海周辺のエネルギー資源を間違いなく地域市場、国際市場へ搬出するには、ロシアのパイプライン輸送に依存している現状を見直して、多層的なパイプライン建設を実現する必要がある。膨大な資源を有するカスピ海周辺諸国が、ロシアやイランの力を借りずにエネルギー資源とパイプラインを欧米と共同開発することこそ、アメリカと世界全体を潤すだけでなく、カスピ海周辺諸国にとっても自国の安全と繁栄を確保する最も確実な道であり、ブッシュ政権はこの方向での政策面の見直しを早急に行うべきだ。

悪の枢軸と国際協調の行方

2002年3月号

アル・ゴア 前米国副大統領

ブッシュ政権は時にこれを逆さにして、「そうせざるを得ない時は他国とともに、可能であれば単独で」事を運んでいる。世界には「貧困と無知、疾病と環境破壊、腐敗と圧政」という「もう一つの悪の枢軸」が存在する。われわれが現在直面しているのは、膨大な規模の民衆が感じている幾重もの悲しみからほとばしる怒りの表れなのだ。重要なのは、アメリカがテロリストに対して毅然たる態度をとるだけでなく、経済的機会と民主的自由を支持しなければならない、ということだ。

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