1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

ヨーロッパに関する論文

トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶

2026年3月号

スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)

ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。

米同盟諸国の苦悩
―― アメリカ後の選択肢を求めて

2026年2月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所 スカラー
マーラ・カーリン ブルッキングス研究所 客員研究員

安全保障と防衛をアメリカに依存する同盟民主諸国を中心に形成された戦後世界は、トランプによってすでに破壊されている。国内に分断を抱え、国防より社会保障の支出を優先する傾向のある同盟諸国は、トランプのやり方が永続化しないことを願い、時間稼ぎをして、様子見をしている。だが、それは賢明ではない。同盟を不必要な重荷とみなすトランプの立場を、アメリカ人も共有し、グローバルリーダーの重荷を背負うことにはいまや消極的だからだ。同盟諸国は、早急にアメリカ後に備えるべきだ。核開発を含めて、国防領域の自立を試みる国も出てくるかもしれない。同盟諸国がアメリカに代わる選択肢をもたないことは、危険であるばかりか、無責任と言えるだろう。

同盟国の核武装で戦後秩序の再建を
―― 独日加の核武装シナリオ

2026年1月号

モーリッツ・S・グレーフラート ユーラシア・グループ 国際問題研究所 フェロー
マーク・A・レイモンド オクラホマ大学 准教授(国際関係論)

ワシントンは核不拡散政策の厳格な順守を見直し、カナダ、ドイツ、日本という少数の同盟国による核武装をむしろ奨励すべきだろう。この3カ国は、合理的な政策決定と国内の安定という面で実績があるし、アメリカとその同盟国に大きな恩恵をもたらしてきた戦後秩序の再建に貢献できる。ワシントンにとって、このような「選択的な核拡散」は、パートナーが地域防衛でより大きな役割を担い、アメリカへの軍事依存を減らすことも可能にする。これらの同盟諸国にとって、核武装は中ロなどの地域的敵対勢力の脅威だけでなく、同盟関係への関与を弱めるアメリカの戦略見直しに対する信頼できる防護策となる。

トランプと欧州右派の連携
―― アメリカはヨーロッパを失う?

2026年1月号

アイバン・クラステフ 自由主義戦略センター 会長

トランプ政権がヨーロッパの極右勢力を評価して連携したことは、危険な賭けだ。政治的分極化を煽ることは、トランプに同調するヨーロッパではなく、分断されたヨーロッパを生み出す危険がある。さらに、(右派の)政党や指導者だけを支援することで、ヨーロッパの重要地域で伝統的にワシントンを支持してきた親米派を失いつつあるかもしれない。結局のところ、トランプの欧州右派に対するアプローチがヨーロッパに与える影響は、多くの点で1980年代にミハイル・ゴルバチョフが東欧諸国に与えた影響に似たものになるだろう。ゴルビー・マニアは東欧の共産主義体制を劇的に変容させ、その過程でモスクワは勢力圏を失うことになった。

新たなユーラシア秩序
―― 進化する中ロ連携と米同盟関係の再編

2025年12月号

ジュリアン・スミス 元NATO米大使
リンジー・フォード 前米国家安全保障会議 上級部長

中ロが秩序形成で連携し、ユーラシアでより統一された競争空間を作り出している。これに対し、アジア・ヨーロッパ諸国は連帯し、急速に相互関係を変化させている。こうした新しいネットワークは、ワシントンがそれにどう関わるかで、アメリカの利益にプラスにもマイナスにも作用する。だが、ワシントンは、アジアとヨーロッパの同盟諸国に(歩み寄って連携するのではなく)自分の地域に留まるようにと促している。現実には、アジアとヨーロッパの境界線は曖昧になりつつある。アメリカは同盟諸国が構築する新たなネットワークに抵抗するのではなく、それへの影響力を適切に行使すべきだろう。

地政学的「欧米」の終焉
―― アメリカの離脱とポスト欧米世界の行方

2025年11月号

スチュワート・パトリック カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

信頼できる地政学的単位としての欧米の終焉は、アメリカとかつてのパートナーが異なる行動と議論を示し、対立する状況を頻繁に出現させることになるだろう。ワシントンによる国際主義の放棄、自由主義的規範やアジェンダ設定への無関心は、欧米の価値と脅威認識にギャップを生じさせ、欧米の地政学連帯を根本的に分断していくはずだ。現在の流動的局面では、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカといった国々が、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、イギリスといった先進国と協力する機会を提供すると考えられる。だが、欧米という枠組みがなくなれば、疑念、敵意、対立、そして紛争が生じやすい世界が残されることになる。

ウクライナへのNATO部隊の派遣を
―― ウクライナと欧州を守るには

2025年10月号

アイヴォ・H・ダールダー 元駐NATO米大使

ヨーロッパのジレンマは、ウクライナを安心させるという決意を具体的な計画にどう結びつけていくかにある。アメリカの貢献が、よくても最小限のものに留まるとしても、ヨーロッパはウクライナの長期的な安全保障を確立するために、部隊を投入する必要がある。ウクライナへの侵略がNATO圏へ拡大してくるリスクを考慮し、ヨーロッパによるウクライナへの戦力展開はNATOの作戦、つまり、NATOによって計画・承認され、指揮される作戦として実施しなければならない。ヨーロッパの指導者が指摘するように、ウクライナの安全を守ることが、ヨーロッパの存亡を左右するのだから。

北極圏のグレートゲーム
―― 米中ロの大国間競争

2025年9月号

ヘザー・A・コンリー 元米国務次官補(ヨーロッパ担当)

トランプは大統領就任後、北極圏における領土獲得の可能性に照準を合わせ、カナダを「51番目の州」と呼び、デンマーク領のグリーンランドについては「いずれにせよ」アメリカが「獲得する」と宣言した。今後の展開がどうなろうと、北極圏の重要鉱物、海上航路、漁業、天然資源、海底採掘、衛星通信をめぐる大国間の争いが発生するのは避けられない。ロシアと中国に比べて、アメリカは大きく出遅れている。北極圏戦略の欠陥と矛盾を早急に解決する必要がある。

米同盟諸国は自立と連帯を
―― トランプに屈してはならない

2025年7月号

マルコム・ターンブル 元オーストラリア首相

「原則を重視する寛大なアメリカ」を今も信じている人々にとって、いまは認知的不協和を引き起こすトラウマ的な状況にある。トランプ政権が作り出す現実は、はっきりしている。内外で法を顧みない行動をとり、各国へのいじめを繰り返し、協定や条約を破棄し、同盟国を威嚇し、独裁者に寄り添っている。米有権者は、この行動を最終的に(選挙で)判断することになる。だが、アメリカの同盟国はすでに心を決めているはずだ。トランプの威圧に屈する必要はない。同盟国が協力すれば、大きな影響力を行使できるし、ワシントンが作り出す大混乱に対抗できる。エマニュエル・マクロンが言うように、米同盟諸国は「いじめられない国」の連合を構築すべきだろう。

プーチンのロシアと欧米
―― 永遠の戦争メカニズムを断ち切るには

2025年6月号

アレクサンダー・ガブエフ カーネギー国際平和財団 ロシア・ユーラシアセンター ディレクター

プーチンは「欧米との対立」をロシアの生活を規定する基本原理に据え、すでに「反欧米」はロシアの生活の一部として定着している。いかなる停戦も、この基本原理、国内メカニズムを覆すことはない。それでも、ロシアエリートの多くは、ウクライナでの戦争が戦略的な過ちであることを理解している。彼らが、欧米との関係改善をイメージしやすい環境を今から準備しておけば、プーチン後の権力抗争で、彼ら、プラグマティストが勝利する可能性を高め、欧米とロシアが熱い戦争と冷たい戦争を永遠に繰り返す事態を避けられるかもしれない。実際、そうしない限り、欧米との永遠の対立を政治遺産にしようとするプーチンの試みに手を貸すことになる。

Page Top