1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

アジアに関する論文

核拡散問題を検証する
――日韓は北朝鮮の核にどう反応するか

2005年6月号

スピーカー
ピーター・ヒューシー/米国防大学基金シニア・アソシエート
チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会フェロー
司会
カーラ・ロビンス/ウォールストリート・ジャーナル外交担当チーフ・コレスポンデント

アメリカが前方展開軍を維持し、核の傘を提供し続ける限り、日韓が核武装に踏み切ることはあり得ない。だが、米軍が朝鮮半島から撤退するとなれば、話は違ってくる。(P・ヒューシー)

北朝鮮が公然と核実験を行った場合、これに対して真っ先に核武装化に踏み切るのは、韓国ではなく、日本だろう。最初に倒れるドミノが日本、そして次がおそらく韓国になるだろう。(C・ファーガソン)

6者協議の破綻と北朝鮮問題の行方
――流れは6者協議から2国間協議へ

2005年6月号

ダニエル・A・ピンクストン カリフォルニア州モントレー国際研究所・不拡散研究センターの東アジア不拡散担当ディレクター

北朝鮮が核兵器を保有し、仮に核実験を行ったとしても、中国は北朝鮮の体制の安定を望むだろう。中国や韓国が北朝鮮に対する圧力を強化することに合意するとはまったく思えない。北朝鮮の体制の不安定化を望んでいない以上、強硬な圧力で追い込むのは中韓の利益ではないからだ。(D・ピンクストン)

原油価格の高騰を読み解く

2005年6月号

スピーカー
ニック・J・バトラー/BPグループ副社長(戦略政策開発担当)
デビッド・G・ビクター/スタンフォード大学環境科学・エネルギー政策センター所長
司会
ビジャイ・V・バイティースワラン/エコノミスト誌世界環境問題・エネルギー担当記者

原油価格が1バレル40ドルを超える水準にあるのはここ1年にすぎない。それまでは20ドル程度で、1990年代の平均は18・5ドル程度だった。われわれがここで突然、今後50ドルを原油価格の基準にして現在の行動や将来の投資を決めれば、石油産業の規律は大きく失われる。(N・バトラー)

現在のドル価値に換算すると、2011年の原油価格は1バレル約40ドルで取引されていると予測できる。今後も現在のような高水準の原油価格が続くと考えるのは妥当ではない。(D・ビクター)

次なる核武装化潮流

2005年3月号

ジョン・B・ウォルフスタール/カーネギー国際平和財団アソシエート

核兵器の価値を認め、核拡散を不可避とみなす宿命論が勢いを得ていけば、新たな核武装化の波が起きる。北朝鮮やイランの核開発の脅威を前に、世界は無節操な核拡散へ向かいかねない危険な状態にある。この潮流を押し返せるとすれば、核の平和利用という名目の下に何が許されるのかを再定義することに各国が前向きになり、すべての国が合意するコンセンサスをとりまとめられた場合だけだろう。

北朝鮮、イランへの政権交代策を

2005年2月号

マックス・ブート/米外交問題評議会シニア・フェロー

武装ゲリラ勢力に対抗し、彼らを粉砕する力を持つイラク政府を誕生させることを最重要課題とみるマックス・ブート(米外交問題評議会シニア・フェロー)は、イラク治安部隊の整備と強化を最優先に取り組む必要があると指摘し、仮に治安部隊の整備がうまくいかない場合には、米軍の規模を倍増させるか、あるいは、大幅に削減させることを提言している。 聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

台頭する中国と米・東アジア関係

2005年2月号

スピーカー
エリック・ヘジンボサム/米外交問題評議会シニア・フェロー
エドワード・リンカーン/米外交問題評議会シニア・フェロー
アダム・シーガル/米外交問題評議会シニア・フェロー
司会
ナンシー・ローマン/米外交問題評議会シニア・フェロー

北朝鮮の問題同様に深刻なのが、アメリカと韓国の関係だ。「アメリカの政府官僚、アジア地域専門家は、日本のことはグローバルなパートナーとみなしても、韓国をそのようにはみなくなるかもしれない。米韓関係が深刻な問題を抱え込むことになるかもしれない。いまのところ、地政学のバランスに配慮した平衡感覚が働いているが、アメリカが韓国から全面撤退してもおかしくないとみられるような言動をみせるようになれば、朝鮮半島をめぐって、韓国ではなく、中国がもっと大きな課題として浮上してくる」

邦訳文は二期目のブッシュ政権とアジアをテーマに行われた米外交問題評議会のワシントン・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

アジアをとらえ直す

2005年1月号

フランシス・フクヤマ ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツスクール教授

アジアのパワー・バランスは各国のナショナリズム感情とライバル意識を高める方向へと変化しており、韓国、日本、中国の間で誤解や対立が生じる危険は今後ますます高くなっていく。中国と韓国の政府が日本の再軍備の意味合いを心配し、日本と中国の指導者たちが統一朝鮮の意図を心配するのなら、そこに多国間フォーラムがあれば不安を低下させ、先の見通しを立てられるようになる。六者協議を基盤とする五カ国フォーラムを形成することこそ、アジアに新しい安全保障構造を構築する第一歩となる。

「北朝鮮によるウラン濃縮」というアメリカの疑惑

2005年1月号

セリグ・ハリソン /米国際政策センター(CIP)アジア研究ディレクター

ワシントンは、日韓をアメリカの路線に同調させるという政治的思惑から、確度の高い裏付けもなく北朝鮮による兵器級ウランの濃縮計画を事実として描き出し、枠組み合意を破綻させ、その結果、北朝鮮の使用済み核燃料の再処理に道を開き、プルトニウムの備蓄の増大というもっと大きな脅威をつくり出してしまった。ウラン濃縮問題ではなく、プルトニウム問題を最優先に北朝鮮問題に取り組む以外にもはや活路はない。

技術革新の拠点としてアジアに目を向けよ

2004年11月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フ ェ ロー

アメリカの技術関連企業が進出し、現地に研究所が設立されると、アメリカに留学して訓練を受けていた科学や工学系の研究者たちが続々とアジアの母国へと帰国し始め、こうした技術拠点でも独自に技術開発が試みられるようになった。将来の技術革新に必要なアイデア、才能、資本が集積している技術拠点はもはやシリコンバレーだけではない。それは、中国、台湾、インドにも存在する。

北朝鮮核危機の行方
――1994年核危機の教訓を生かせ

2004年8月号

スコット・スナイダー/アジア財団シニア・アソシエート

6者協議を進展させるつもりなら、ワシントンはソウルとの同盟関係の修復を図って立場の違いを少なくし、対北軍事路線をめぐる米韓の間の亀裂に平壌がつけこめないようにしなければならない。北朝鮮は、これまでもアメリカの怠慢と無関心につけこんできた。ワシントンが焦点の定まらない態度をとり続ければ、第2次北朝鮮危機は壊滅的な事態に直面する。政権交代を漫然と待っているのは、ワシントンにせよ、北朝鮮にせよ、真っ当な戦略とはいえないだろう。

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