北朝鮮の意図を確認せよ
――朝鮮半島政策の次なる課題
2002年1月号
二〇〇〇年六月の歴史的な南北首脳会談から一年、当時の熱い期待はまだ少しは残っているが、朝鮮半島情勢は厄介なほどに先の読めない状況にある。こうしたなか、ブッシュ政権は対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)外交を新たに開始した。南北首脳会談は、南北朝鮮の関係に新たな一章を開くとともに、大量破壊兵器問題の背景にある、南北間の「緊張」という朝鮮半島の根本問題の解決への糸口を切り開き、真の和解の可能性も浮上させた。しかし、五十年に及ぶ不信と対決の歴史を少しずつ解きほぐしていくという困難な作業を前に、首脳会談の際に高まった期待と約束もいまや色あせてきている。ブッシュ政権が受け継いだのは、長く続いてきた軍事的膠着状態だけではなかった。新政権は、緊張の大幅な緩和、安定した抑止状況、緊密な米韓同盟、そして十三年の歴史を持つ北朝鮮との交流という側面も受け継いだ。南北首脳会談は、北朝鮮の対外姿勢や戦術を大きく変化させることをわれわれに予想させるものだった。たしかに、かつては謎に包まれ、嘲笑の的とされることも多かった金正日だが、いまや数多くの外国の指導者たちと丁々発止やり合える、まともな政治家として表舞台に登場している。北朝鮮はイギリス、イタリア、ドイツなどアメリカの同盟国を含む二十カ国を超えるアジア・ヨーロッパ諸国との関係正常化のため、特徴には欠けるとはいえ、見事な外交攻勢に打って出た。しかし劇的な戦術上の変化を別にすれば、平壌の全方位外交が北朝鮮の政権内での重大な方向転換を意味するのか、経済利益や安全保障と引き換えに軍備削減交渉に応じる気があるのか、予断を許さない状態にある。今回のタスクフォース・リポートは、朝鮮半島情勢がこの三年間でどのように推移したかを軸に、米韓の政策がそれぞれどのような経緯をたどってきたか、現状に対処するための最適の政策は何なのか、を中心に分析している。
