誰がミャンマーを統治するのか
―― アウンサンスーチーと軍は歩み寄れるか
2015年12月号
ミャンマーの選挙で改選されるのは上院・下院とも議席の75%だけで、残る25%は軍の指定席だ。憲法改正には議会の75%以上の賛成が必要とされるため、軍はみずからの権限縮小につながる改正を必ず阻止できる。さらに、軍最高司令官は国防相、内務相、国境相の任命権を持っている。アウンサンスーチーの選挙での勝利は、新生ミャンマーにおける今後5年あまりの権力分担をめぐる熾烈な争いの始まりにすぎない。この争いの過程で、スーチーと軍との関係も調整を迫られる。現憲法の改正を広く民衆に訴えようとすれば、彼女は再び自宅に軟禁され、ミャンマーは軍事政権に戻ってしまうだろう。今後5カ月でアウンサンスーチーと軍がどのように歩み寄るのか、そして新生ミャンマーにおける権力分担に合意できるかが、今後のミャンマーの進路を決定することになる。