中国のWTO加盟という機会と危機
2002年1月号
以下は十月中旬に公開された米外交問題評議会のリポート「中国のWTO加盟と米中関係の行方」(日本語インターネット版二〇〇一年十二月号掲載)の公表を受けて開かれた討論会の議事録からの抜粋。スピーカーはいずれもリポートの作成にかかわったタスクフォース・メンバー。発言部分の前に名前を記していない議論は匿名によるもの(匿名と表記)。
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2002年1月号
以下は十月中旬に公開された米外交問題評議会のリポート「中国のWTO加盟と米中関係の行方」(日本語インターネット版二〇〇一年十二月号掲載)の公表を受けて開かれた討論会の議事録からの抜粋。スピーカーはいずれもリポートの作成にかかわったタスクフォース・メンバー。発言部分の前に名前を記していない議論は匿名によるもの(匿名と表記)。
2001年10月号
以下は二〇〇一年四月に、米外交問題評議会とライス大学付属ジェームズ・べーカー公共政策研究所が発表したエネルギー政策に関するタスクフォース・リポートからの抜粋(英語の全文http//www.cfr.org/Public/publications/taskforce.htmlからアクセスできる)。同評議会のタスクフォース・リポート発表からほぼ一カ月後に、ディック・チェイニー副大統領が議長を務めたブッシュ政権のタスクフォースが「国家エネルギー政策」を発表した。
2001年9月号
「口座情報の厳格な機密保持、顧客情報公開という行為の犯罪化、そして、他国の法執行当局との国際協調の禁止」を自国の法律に盛り込みさえすれば、スイスやケイマン諸島でなくても、簡単にダーティー・マネーを魅了できることを各国が理解し始め、いまや不法な資金の避難地域は世界に広く拡散している。こうした課税回避行動やマネーロンダリング行為ゆえに、国内でまじめに納税している市民の税負担の重みが増しているだけでなく、世界各地で金融メルトダウンが誘発されている。
中央銀行は失業率を気にせずに、インフレ率だけを見ていればよいとするインフレターゲット論者は、経済成長と完全雇用の達成にとらわれている中央銀行には問題があり、慢性的な高失業率という犠牲を払ってでも物価安定を達成してきたドイツ連銀のような中央銀行こそが正しいモデルである、と言う。完全雇用、安定成長、妥当な物価の安定の実現は彼らの言うように本当に不可能なのか?
2001年9月号
HIPC債務救済イニシアチブが、救済措置適用国の貧困層を潤しているわけではない。債務を帳消しにするとしても、その条件として、資金の有効な利用と構造改革の実施を義務づけない限り、貧困層が救われる可能性は低い。だが、迅速な債務救済をやみくもに求める現在の政治圧力は、そうした条件を考案し強制することをむしろ妨げてしまいかねない。HIPCで社会サービスが機能していない直接的理由は、社会保障支出が債務の金利支払いに充てられているからではなく、HIPCの統治がなっていないからである。水をザルでは運べないように、こうした諸国で社会保障支出を増やしても、社会サービスがそれを必要としている人々のところに届くわけではない。
2001年8月号
世界市場における企業競争の実態は、貿易指標だけでは測りきれなくなってきており、対外直接投資の経済効果をより重視する必要がある。国境を超える輸出入の数字など、グローバルなビジネスのつながりを示すものでもなければ、企業がどのように、どこで競争しているのかを示すものでもない。自国の貿易赤字に過度にこだわれば、保護主義を呼び込むだけである。アダム・スミスによる時代遅れのグローバルな競争の分析枠組みに別れを告げ、アメリカ経済の世界市場との関係についてのより複雑な構図を理解すべき時期にきている。
2001年6月号
グローバリゼーションは、まさにその名が示すごとく、国民国家の天敵とならざるを得ないのだろうか。統合へと向かう流れが不可避の宿命ではなく意図的な選択であるとすれば、国家を無能と考えることはできないだろう。国家の潜在力はその選択にこそあるからだ。グローバリゼーションによって、国家は意図する活動や求められる活動を遂行する能力、特に課税、所得再分配のための公共支出、およびマクロ経済政策といった重要分野に関わる能力を失うとよく言われる。しかし、この認識は正しいと言えるのだろうか。
2001年6月号
日本企業の経営陣は経営の金科玉条に従って、消費者のニーズに敏感に対応し、最大の利益を上げる新製品やサービスに集中的な投資を行った。だが、もはやそれだけでは成長は望めない。企業が市場の最上位に達し、成長を持続させるのに必要な市場規模を見いだせなくなると、痛みを伴う合併がゲームの「上がり」として待ち受けている。アメリカ経済が近年好調なのは、日本式経営の信用が落ちてアメリカ式経営のパラダイムが急に優勢になったからではなく、アメリカでは日本と違って既存市場へのディスラプティブ(下からの挑戦)・サイクルが繰り返されているからだ。
2001年6月号
いまや国際政治を突き動かしているのは経済競争であり、当然、重要な経済資産や資源へのアクセスをめぐる競争も激化している。さらにやっかいなのは、重要な資源の多くが、ライバルたちが競い合っている地域、あるいは恒常的に不安定な地域に存在することだ。世界の資源動向とそれに関連する政治・地政学的現象は、政策決定者が世界の大枠での安全保障問題の今後を検証する際の優れた枠組みとなるだろう。
2001年4月号
アジア企業が欧米流の改革を断行していないとすれば、それは欧米の改革を理解していないからではなく、単に彼らが置かれている状況下で改革を行うことが意味をなさないからだ。欧米の批評家たちは、アジアの企業が、この地域の社会、制度面での特異性に合理的に対応してきたことを見落としている。こうしたやり方が過去における成長を呼び込み、今でも、短期的な成長の基盤を提供している可能性がある。 だが、資金を調達できない状況が続けば、アジア企業も資本市場にアクセスするために自己変革を余儀なくされる。グローバル経済にむけた自己変革に成功した企業が収益と生産性の伸びを示すことこそ、改革の妥当性を示す根拠となり、改革を促進する刺激となるだろう。