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経済・金融に関する論文

CFRミーティング
ワールド・エコノミック・アップデート
 ――米経済は08年後半に本当に立ち直れるのか

2008年2月号

スピーカー
リチャード・バーナー モルガンスタンレー、マネージング・ディレクター
ミッキー・レビー バンク・オブ・アメリカ、チーフ・エコノミスト
ローレンス・メイヤー 前連符準備制度理事会理事
司会
ダニエル・K・タルーロ ジョージタウン大学法律センター教授

CFRミーティング
改革路線の継続こそ
インド経済発展の試金石
 ――ムンバイを国際金融センターに

2008年2月号

スピーカー ヘンリー・M・ポールソン   米財務長官
司会  ピーター・アッカーマン    ロックポート・キャピタル社マネージング・ディレクター

「アメリカ財務省が、インドと協力して改革と包括的な経済成長を促進することを望んでいる二つの分野について述べたい。一つは、物的なインフラ整備の資金を提供し、インドの一般家庭の生活に恩恵をもたらし、経済を活性化させること。もう一つは、ムンバイを国際金融センター(IFC)に発展させて、インドの金融システムを強化・拡大することだ。これら二つの目的を達成するには、国際的なスタンダードを受け入れ、政治的なリスクを冒してでも経済改革を積極的に前進させるという強いインド側の決意が必要になる」
 「いまやバンガロールに拠点を置くインド企業は、多国籍企業のバックオフィス業務にとって欠かせない役割を果たしている。この領域では、インド企業が世界のビジネスのやり方を革命的に変化させている。次のステップはムンバイに金融センターをつくり、地域を超えて企業と投資家に金融サービスを提供することだろう」(H・ポールソン)

政府系ファンドとグローバル金融市場
――政府系ファンドは脅威なのか

2008年2月号

ロバート・M・キミット/米財務副長官

政府系ファンドが多くの注目を集めているのは、政府系ファンドの活動がグローバル経済を構造的に変化させる可能性を秘めているからだ。実際、投資を通じて他国の安全保障インフラや民間企業の経営に対して大きな影響力を持つようになる可能性もある。だが、これまでの行動から判断すると、政府系ファンドは政治的な論争を誘発するような行動を慎んでいる。政府系ファンドの投資活動が自由で公正な活動である限り、政府系ファンドからの投資に対して開放的な路線をとり、国内および外国での成長と繁栄を促進すべきだろう。むしろ、必要なのは、政府系ファンドとファンドの受け入れ国が適用できる一連の政策原則を国際的に確立することだ。逆に、最大の脅威は「投資保護主義」の台頭だろう。

Classic Selection
それでも21世紀は民主主義の時代になる
――民主化に不可欠な信頼と妥協を育む市場経済

2007年12月号

マイケル・マンデルバーム   ジョンズ・ホプキンス大学教授

市場経済を機能させるのに必要な制度、知識、価値観は、民主主義を実現するうえで必要になる制度、知識、価値観と重なりあう。こうして民主主義は市場の働きを通じて広まることになる。市場経済が民主主義を育んでいくのは、市場経済の前提となる財産権の保障が自由の一部を構成しているからだ。もっとも重要なのは、市場経済のもとで、企業、労働組合、専門家協会、有志クラブなど、政府から独立した団体が多数誕生することだ。非民主国家が経済成長を実現するために市場経済体制を導入すれば、民主化圧力は必ず高まっていくし、経済成長は、将来にわたってあらゆる国の政府が追求する目標であり続ける。しかし、アメリカの政策でそれを左右するのは難しいし、アラブ世界、ロシア、中国が今後民主化していくかどうかは、予断を許さない状態にある。

中国の富裕層の上位10%が民間資産の40%以上を保有し、インドにいたっては、富裕層の上位わずか36名が1910億ドルの資産を所有するという、極端な所得格差が両国で生じている。中国とインドは、所得格差に加えて、地域格差、産業間格差という問題も抱えている。経済成長からの恩恵を社会的に再配分するには、政府が、教育、医療、インフラ、開発への投資を増やす必要があるが、インドと中国の場合、こうした領域への投資が進んでいない。貧困に苦しむ農業部門を置き去りにするのではなく、中国とインド政府は、インフラ、医療、教育への投資をさらに強化する必要がある。経済・社会格差の増大は両国における貧困層の削減ペースが鈍化し、経済成長を持続させる基盤が政治的・社会的に脅かされていることを意味するのだから。

CFRインタビュー
パーツメーカーから本格的
航空機メーカーへの脱皮を狙う中国の思惑

2007年10月号

ジョン・W・ブルンズ ボーイング社民間航空機部門 中国担当バイス・プレジデント

「航空機産業の技術開発と研究は経済に広くプラスの波及効果を与える。当然、中国側が航空機産業に参入したいと考えるのも無理はない。だが、現実的にみて、中国の航空機産業が、ユナイテッド・エアライン、ブリティッシュ・エアウェイズ、シンガポール・エアラインなどから生産を受注するような、われわれのライバルになるにはあと数十年はかかるだろう」。中国の航空機産業の今後についてこう指摘するボーイング社のジョン・ブルンズは、中国企業は、市場において重視されるブランドや信頼性をまだ確立できていないし、技術的な問題に対応し、自社の航空機を利用しているすべての国においてサポートインフラを確立していない。それには、長い時間がかかると言う。また、競争力のある航空機を生産するのに必要な技術レベルは、航空機のサイズが大きくなるほど高くなると指摘する同氏は、「国家の威信を重視すれば、中国は独力で航空機を生産し、世界にその成果を示したいと望むだろうが、商業的な成功を考えれば、海外企業と提携するのが得策だ。どちらを選ぶかは、中国がどのような動機で航空機を開発しているかに左右される」と語った。聞き手はリー・ハドソン・テスリク(www.cfr.org のアシスタント・エディター)。

CFRミーティング
サマーズ、ボルカーが語る 世界共通通貨の可能性

2007年8月号

スピーカー
ローレンス・H・サマーズ 元米財務長官
ポール・A・ボルカー 元連邦準備制度理事会議長
司会
ジェームス・D・グラント グラント金利オブザーバー誌編集者兼オーナー

まだまだ世界単一通貨の実現にはほど遠いというのが現実だが、この方向に向けた流れのなかで金融秩序は安定的に機能している。現在のようにドルが広く使われることは、金本位制だった当時は想像もできなかった。何かあれば、太陽(ドル)を離れて、月(金)に逃げ込むことができた。これがドルの限界だった。だが、金本位制からの離脱によってその限界はなくなった。ドルに対する信認さえあれば、世界が基軸通貨を持つことには大きな優位がある。(ポール・ボルカー)

私はドルの独占的な地位が永久に続くとは思っていないし、この点ではポールよりも悲観的な見方をしている。ユーロに関する限られた経験しかないとはいえ、多様な経済が、固定為替レートの共通通貨を持つことには問題があることをわれわれは知っている。世界中の国々のことを考えると、国家間の相違は(欧州連合〈EU〉内の)アイルランドとイタリアよりもはるかに大きい。(ローレンス・サマーズ)

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