Focal Points

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2022.7.20 Wed

<8月号プレビュー>
グローバル食糧危機と黒海封鎖
―― ウクライナ戦争の分水嶺?

当然、食糧不足が危機として具体化する前に軍事作戦から外交までの計画を準備しておくべきだ。プーチンが示唆するような「ロシアの貨物船1隻が(経済制裁の例外措置として)国際貿易を認められれば、ウクライナの貨物船1隻も(ロシアの海上封鎖の例外として)国際貿易を許される」という合意も可能かもしれない。だが、この方法はロシアにかなりの金銭収入をもたらすとともに、制裁解除の前例を作り出すことになるため、ほとんど支持は得られていない。一方、欧米は衝突のリスクを冒すことには及び腰で、その間にも世界の食糧事情はますます厳しくなる。(カンシアン)

世界の穀倉地帯であるロシアとウクライナは、小麦、トウモロコシ、大麦などの穀物の主要輸出国だ。2020年まで、両国は生産した小麦の約半分を中東や北アフリカの国々に輸出してきた。だがウクライナ戦争が、穀物、種子油、食用油、肥料など、中東・北アフリカがもっとも必要とする物資の供給を妨げている。こうして、多くの地域諸国が政策を見直し、代替策を模索している。例えば、エジプトは数カ月分の食糧を備蓄し、アラブ首長国連邦から資金援助を受けて、パン(小麦粉)の価格統制を維持している。各国は特にパンの値上げを何とか回避しようとしている。(ロビンソン)

ロシアの戦争目的が、もっぱらウクライナの「非ナチ化と非軍事化」だった段階はすでに終わっている。ワシントンと同盟諸国政府が、ウクライナの主権と領土の一体性を守るための支援に関与を限定してきた段階も同様だ。双方の指導者たちは、越えられないはずの一線を越えてしまっている。いずれ、両国は、相手の重要インフラに破壊的なサイバー攻撃をかけたい衝動に駆られるだろう。現状ではその可能性は低いが、核兵器の使用やNATO軍の投入さえも、もはや想定外とはみなせない。エスカレーションを阻むガードレールがなければ、この新冷戦のロジックがどこに向かうか、分からない状況にある。(ブレマー)

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