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黒海と世界の食糧危機
―― ロシアに対する軍事・外交オプションを

マーク・カンシアン 戦略国際問題研究所 国際安全保障プログラム上級顧問

How to Break Russia’s Black Sea Blockade: The World Must Act to Address the Global Food Crisis

Mark Cancian アメリカの安全保障問題の専門家で、戦略国際問題研究所(CSIS)の国際安全保障プログラム上級顧問

2022年8月号掲載論文

これまでのところ、世界で飢餓が起きているという報道はないが、戦争が続けば、穀物の供給はさらに減少し、食糧不足だけでなく、暴動が起き、社会と体制の不安定化が誘発される恐れがある。欧米に行動を求める圧力が高まるのは避けられない。当然、食糧不足が危機として具体化する前に軍事作戦から外交までの計画を準備しておくべきだ。プーチンが示唆するような「ロシアの貨物船1隻が(経済制裁の例外措置として)国際貿易を認められれば、ウクライナの貨物船1隻も(ロシアの海上封鎖の例外として)国際貿易を許される」という合意も可能かもしれない。だが、この方法はロシアにかなりの金銭収入をもたらすとともに、制裁解除の前例を作り出すことになるため、ほとんど支持は得られていない。一方、欧米は衝突のリスクを冒すことには及び腰で、その間にも世界の食糧事情はますます厳しくなっている。・・・

  • 食糧危機から政情不安へ
  • 陸路輸送の限界
  • 海上封鎖にいかに対抗するか
  • 軍事衝突が起きれば
  • より安全なやり方

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