Focal Points

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2022.11.1 Tue

<11月号プレビュー>
迫りくるグローバル・リセッション
―― インフレ、為替、中央銀行のジレンマ

中国経済は実質的にリセッションに陥り、ヨーロッパ経済もエネルギー不足によって冬にはリセションに入ると考えられる。アメリカ経済も停滞に向かいつつある。グローバルな経済停滞が主要国におけるインフレ圧力をどの程度迅速に低下させるかが、今後考えるべき大きなテーマになるだろう。長期的なインフレの定着リスクよりも、インフレ抑制のために採用した措置がうまく機能しすぎて、現在の世界的な引き締め策が中国の不動産不況、エネルギー市場の混乱と重なり合って深刻な景気後退をもたらすリスクが警戒されている。円安ドル高、イギリス経済の混乱という問題もある。(セッツァー)

ドル高がすすむと、中・低所得国のドル建て債務の持続可能性が脅かされる。原材料価格もドル建てであるため、通貨安になると資源輸入国のコストや物価が上昇し、この流れがインフレを誘発する。このため、ドル高になると多くの国の中央銀行は為替市場に介入し、外貨準備を用いて自国通貨を買い支えようとする。だが売却された米国債の多くは米金融市場に流れ込み、結局はドル高になる。(アイケングリーン)

中国にとって、投資率が高いことは悪いことではなかった。かつて必要とされていたのはまさしく投資主導型の経済開発モデルだった。問題は不動産とインフラ部門での非生産的投資の時代があまりに長く続いたことだ。15年ほど前から、債務が国内総生産(GDP)成長率を上回るペースで増加し始め、肥大化していった。しかもいまや不動産バブルははじけ、新しい経済モデルへ移行するしかない状況にある。中国が消費(内需)主導型の成長へシフトできるとは考えにくい。(ペティス)

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