Focal Points

2021.9.2.Thu

<9月号プレビュー>アジア主義からナショナリズムへ、バイデンと北朝鮮の核兵器

第一次世界大戦期、アジアでは別の戦争が起きていた。ジャワ島では、中心部でもプランテーションでも労働者のストライキが起き、マレー半島のクランタン州では新税に対する反乱が発生した。サイゴンからスマトラ、シンガポールからラホールまで、抵抗思想が野火のような広がりをみせていた。反乱にはそれぞれの火種があり、抵抗運動の政治的イデオロギーは様々だったが、アジア主義という共通するグローバルなビジョンがあった。「欧米の主人たちと、支配されている自分たちの立場は逆転する」と確信するアジア主義思想は、最初に日本に拠点を見出すが、その後、共産主義の国際主義と重なりあい、最終的にはナショナリズムへ向かっていった。・・・。(ゲタチュー)

北朝鮮の核ミサイルが米本土を射程に収めるにつれて、その脅威は質的に大きく変化している。変化が長い時間をかけて起きたために、分析者や政策決定者は脅威に慣れきってその深刻さを過小評価している。だが、軍事オプションはもはやとれない。外交では、妥協をするだけで結局何も得られない。むしろ、バイデンは二つの基本的な事実を認識する必要がある。現在の全体主義政権が続く限り、平壌は核兵器を放棄しないこと。もう一つは、米主導の体制変革(レジームチェンジ)は、少なくとも短期的にはオプションにはならないことだ。(テリー)

(世界共通の)法人税率を「最低でも」15%以上とすることが7月のG20財務相・中央銀行総裁会議で大枠合意された。多国籍企業がどこかの国で15%を下回る税率での負担しかしていない場合、その企業の本社がある国の政府は最低税率に達するまで上乗せして課税できる。これによって、今後、タックスヘイブンの出番はなくなり、「底辺への競争」も回避されるかもしれない。多国籍企業は、あまりにも長い間、あまりにも少ない支出で他の人々が負担する公共財にただ乗りしてきた。いずれにしても今後数年のうちに、多国籍企業はより多くの公共財への貢献をすることになるだろう。(シャクソン)

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