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2021.6.30. Wed

中国を引き裂く大潮流
―― そこにある二つの中国

中国政府の勝利主義的レトリックの背後には、不都合な真実が隠されている。それは、社会がやっかいな形で複雑に分裂しつつあることだ。ジェンダーと民族を基盤とする差別が横行し、オンライン空間での憎悪に満ちた、ナショナリスティックな発言がこれに追い打ちをかけている。起業家や研究者を含む「クリエーティブな社会階級」は官僚と衝突している。都市部と農村部の深刻な格差もなくなっていない。これらの分断ゆえに、重要な社会集団が中国の思想・政治的生活に完全に参加できずにいる。(エコノミー)

大清帝国の瓦礫の上に現代中国を構築した共産党にとって「中国とは何か、そして中国人とは誰か」を定義することは、「中国的特質を持つ社会主義」を育むのと同じくらい重要だった。それだけに、広東省南部の人々のほとんどが「自分を中国人だ」と自覚しているのに、チベットや新疆にルーツがある人々がそうではないと考えていることは大きな問題だ。共産党は国内で生活する人すべてを中国人と定義している。そして、共産党が、国の領土主権にこだわっているのは、帝国から引き継いだ領土の一部で、その支配に挑戦する動きが生まれることを警戒しているからに他ならない。(ウェスタッド)

新疆における北京の残忍な行動は、習近平体制の権威主義化や中国共産党(CCP)のイデオロギーを映し出しているだけではない。むしろ、ウイグル人に対する抑圧は、「征服したものの、現代の中国に完全に組み込めず、一方で、実態のある自治も与えていない領土」と北京との「植民地的な関係」に起因している。北京はウイグル人の文化とアイデンティティを抹殺することを決意している。欧米はこれを人権侵害として攻撃しているが、変化は起きそうにない。「ウイグル人に対する扱いが中国の経済と名声にダメージを与える」と北京が納得しない限り、大きな変化は期待できない。(ロバーツ)

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