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2021.2.19. Fri

何がパンデミック対策を左右するのか
―― 誰がどのように情報を伝えるか

現在の公衆衛生構造は「感染症の(局地的な)アウトブレイク」を前提としている。だが「世界のほぼすべての国が同じようにリスクにさらされるパンデミック」には別のアプローチが必要になる。事実、パンデミックを前に、限られたリソースしかもっていない世界保健機関(WHO)、世界銀行などの国際機関が大きな圧力にさらされた結果、各国は独力で感染症対策を実施せざるを得ない状況に追い込まれた。パンデミックに対する真のグローバルな対応を実現するには、各国はデータ共有を含めて、共同の試みをすることに合意しなければならない。(ナッゾ)

将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。途上国へのワクチン供給に遅れが生じるのも、ワクチン接種をいやがる人が出てくるのも避けられない。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。(ミショー、ケイツ)

パンデミックに相対的にうまく対応できた国とそれに失敗した国の違いはどこにあるのか。リスクコミュニケーションにおいて重要なのは「何が問われているか」だけでなく、「誰が」情報や懸念を「どのように」伝えるかだ。要するに、情報を伝える側が信頼されていなければ、市民が耳を傾けることもない。効果的な治療法がなく、人々が既存の免疫をもたない新型ウイルスに直面して、市民が互いに自らを守れるようにするために、政府ができる唯一のことは「自分を守るために何が必要かについて市民を納得させること」だ。特に自由な社会においては、そうした試みの成功は政府と市民の間に信頼があるかどうかに左右される。(ボリキー 、クロスビー 、キーナン)

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