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2020.9.9.Wed

1930年代が再現されるのか
―― 迫りくる恐慌、保護主義とポピュリズムの台頭

20世紀の大恐慌以降のいかなる時期にもまして、いまやコロナウイルスが「世界のより多くの地域をリセッション(景気後退)に陥れている」。当然、力強い経済回復は期待できず、世界経済が2020年初頭の状況へ回帰するには、かなりの時間がかかるはずだ。この危機は前回のグローバル金融危機と比べても、世界経済活動の崩壊の規模と範囲が大きいために、さらに深刻な金融危機になる。かつては大きな流れを作り出したグローバル化潮流が停止すれば、世界経済が大変調を起こすのは避けられない。1930年代と似たムードが漂い始めている。(ラインハート)

ポピュリストの政治家は、ウイルスに関する科学的見解が不確実で可変的であることを根拠に、パンデミックそのものを「フェイクニュース」と呼んだ。デマゴーグたちは、「絶対的な自由」を重視する戦略をとり、トランプも移動の自由や集会の自由に対する規制を緩和するように呼びかけた。エスタブリッシュメント(の判断)に対する「忘れられた多くの人々(の不満と怒り)」を動員して、ポピュリズムはさらに力を得るかもしれない。(ウルビナティ)

「グローバルパンデミック」がどの段階にあるかは地域差がある。自国よりも早く経済を再開できる地域や国があるかもしれない。経済再建の試みが始まった段階で、港が輸入品で埋め尽くされているようなら、国内産業から保護主義を求める圧力が高まってくるのは避けられない。もっとも深刻な余波が生じるのはパンデミックが収束し、経済生産が再開されたときかもしれない。貿易保護主義を求める社会圧力の高まりを予測もせず、備えることを怠れば、世界は壊滅的な事態に直面することになる。(ボウン)

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