Focal Points

2020.9.11.Fri

<9月号掲載論文より>
神の時代の終わり?、ネイティブアメリカンの民族浄化、一国二制度の終焉

「生き延びられるかどうか」。人間の歴史において、これは長く不確実な命題だった。しかし経済発展と技術的進歩の結果、人間は飢餓を逃れ、疾病に対処し、暴力を抑えられるようになった。生き延びられるだろうかという不安が低下し、寿命が延びると、女性を家庭に縛りつけ、同性愛者にアイデンティティを隠すことを強いた宗教的戒律を守ることに多くの人が消極的になった。もちろん、現在のパンデミックが何年も続いたり、新たな大恐慌が起きたりすれば、こうした文化的な変化も逆転し始めるかもしれない。だが、現在のトレンドが続けば、伝統的な宗教的権威が社会道徳に対して持つ影響力は、低下し続けることになる。(イングルハート )

先住民族を東部から締め出すための19世紀の強制移住プログラムに連邦政府は7500万ドルを費やしたが、その経済的見返りは大きかった。彼らの土地を民間に売却することで、買収費用を約500万ドル上回る約8000万ドルの収入を得た。北部の資本家は、インディアンがいなくなった土地への投資、つまり、奴隷が綿花の苗を植え、収穫し、加工するビジネスへの投資から莫大な利益を上げた。その結果、1830年代に「アラバマの奴隷人口は2倍以上に増えて25万3000人に達し、1830年代の終わりには、奴隷のほぼ4人に1人が、かつてはクリーク族の土地だった農園で働いていた」。先住民を締め出した政策の真の勝者は、奴隷を所有する南部の農園主と、彼らに投資したニューヨークの資本家だったのかもしれない。(トルーアー)

6月30日に導入された国家安全法によって、香港は北京のいいなりにならざるを得なくなり、実際、香港の抗議運動は抑え込まれている。分離主義、テロ、破壊・転覆工作、そして「外国パワーとの共謀」は、国家安全法ですべて犯罪と定義されているために、大陸に引き渡されるリスクを冒すことなく、香港の民主活動家が共産党の指令に反対することはいまやほぼ不可能になった。次期米大統領が、中国共産党による世界有数の活気ある社会の乗っ取りという事態を覆すのは容易ではないだろう。(ペルレス )

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