Focal Points

2020.10.9.Fri

<10月号プレビュー>
米覇権の解体、民主世界と中国の冷戦、バイデン政権の課題

中国とロシアの台頭に伴い、「独裁的で非自由主義的プロジェクト」が米主導の「リベラルな国際システム」に対する代替策として浮上している。途上国、さらには多くの先進国でさえ、欧米の援助や支援に依存し続けるのではなく、別のパトロンによる支援を頼ることができる。こうして、アメリカのグローバルリーダーシップは単に後退しているだけではなく、解体しつつある。軍事費をいかにつぎ込んでも、アメリカの覇権解体を促している流れを止めることはできない。考えるべきは、米覇権の解体がどこまで進むかだ。(クーリー、ネクソン )

欧米の期待に反し、政治体制の締め付けを緩め、開放的政策をとるどころか、習近平は国内で異常なまでに残忍で抑圧的な政策をとり、対外的にもより攻撃的な路線をとるようになった。だが、北京は、中国市民を恐れている。自分たちが「社会の安定」と称するものを無理矢理受け入れさせるために大きな努力をし、国内の治安部隊やハイテク監視プログラムに数十億ドルを費やしている。共産党が絶対的な権力をもつ中国が、リベラルな民主世界が強く団結している世界において快適に共存できるとは考え難いし、民主世界が団結を維持できれば、中国が変わるまで、ライバル関係が続くのは避けられないだろう。(フリードバーグ )

トランプを指導者に選んだ共和党は、力が正義を作るという信念をもっている。一方、民主党は正義が力を生むと考えている。米国内における欠陥や問題を是正する力や、移民を歓迎する民主国家としてのアイデンティティ、法の支配の順守、そして人間の尊厳に気を配る姿勢が、アメリカに世界のリーダーシップを主張する道徳的権威を与えているとみなしている。バイデンは、これを国内外で平常な感覚を取り戻すチャンスと説明している。その努力に、新しいタイプの世界秩序形成を加えるべきだろう。それは、ルールを押し付けることなくアメリカがリーダーシップを発揮し、他国に求める基準に自らも従い、グローバルな格差と闘う世界秩序だ。(ローズ)

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