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2019.5.20 Mon

今回ばかりは違う
―― 米外交の復活はあり得ない

米外交のエリートたちは、感情的で幼児並みの知性しか示さない人物が大統領に就任する事態への準備はできていなかった。アメリカというジェンガータワーはまだ崩れずに建っているが、ブロックをいくつか抜けば、ぐらつきは肉眼でも分かるようになる。次期大統領が表面的取り繕いを超えた抜本的修復策をとるべき理由はここにある。しかし、今回ばかりは、本当に終わりかもしれない。(ドレズナー)

アメリカの外交インフラのなかで混乱が生じているし、これが何を引き起こすかはほとんど検証されていない。全般的に捉えると、トランプのアプローチはたんなる衝動ではなく、ホッブス的な世界観に基づいており、戦略には程遠い。求められているのは、残存するアメリカの支配的優位という歴史的な機会を利用して、新しい現実を反映するように国際秩序を刷新していくことだ。そのためには、外交という失われた資源を再生し、取り戻す必要がある。(バーンズ)

先の大戦期及びその直後に成人した世代は、アメリカが世界をリードしなければ、いかに忌まわしい世界が出現するかを本能的に理解していた。しかし、この世代の多くが亡くなり、具体的に秩序を形作った子どもの世代も少なくなってきている。トランプが大統領の座を退いても、「アメリカのリーダーシップなき世界」がどのような末路を辿るかを知る人々が支えたかつてのコンセンサスへアメリカが回帰していくことはない。(コーエン)

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