Focal Points

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2018.9.19 Wed

「自分の国に誇りをもてますか」
―― 国家アイデンティティと政治参加

研究者は、国によって市民の国家へのこだわりや思い入れが異なる要因として、民族的多様性やグローバル経済への統合レベル、あるいは戦争や内戦の(経験や)歴史などさまざまな説を唱えてきた。しかし、私の研究からは別の結論が導き出されている。「人は自分が所属する民族集団の代表が国政に参加していると、国との一体感を感じる」。つまり、国家アイデンティティ意識には政治参加(代議制)が重要であり、国が民族的に多様であっても同質的であっても、それは変わらないということだ。(ウィマー)

国家の仲間入りを果たしたい以上、分離独立運動も主権原則を尊重している。だが独立を果たせば、分離独立しようとする国の主権を犯すことになる。既存の国家は分離独立運動に眉をひそめ、独立を否定する立場を共有しようとする。しかし、既存の国家と国際機関が国として機能できそうな分離独立運動の国際的承認を拒絶し続ければ、運動は自制をかなぐり捨てて、暴力に訴えるようになるかもしれない。一方で、政府の樹立と承認に向けてクリアすべき条件を示せば、必然的に既存の国家主権の基盤を損なうことになる。(ファザル)

ウクライナとレバント諸国における紛争の共通点は、国の境界線と民族アイデンティティの間の不一致、つまり、国家と民族間の不均衡を背景に衝突が生じていることだ。国と民族の分布がうまく重なっている地域もあるが、そうでないところも多い。この国と民族の境界が重なっていない地域では、少なくとも市民の一部(民族的マイノリティ)は、異なる民族(民族的マジョリティ)による支配から自らを解き放つために、別の国を作るか、自分たちと民族的同質性の高い隣国に参加することが、願いをかなえる最善の方法だと考えている。(ミラー)

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