Focal Points

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2018.8.31 Fri

<9月号プレビュー>
日本の新しい防衛戦略
―― 前方防衛から「積極的拒否戦略」へのシフトを、ほか

ポスト冷戦初期の安全保障環境なら、前方防衛戦略にも完全な合理性があったが、中国が紛争の初期段階でかなりの優位を手にできる(現在のような)変化した環境にはうまく機能しないだろう。脆弱性を抑え、アメリカとの同盟関係のポテンシャルを最大限に生かし、中国に対する抑止力を強化するには、日本はむしろ「積極的拒否戦略(strategy of active denial)」へシフトしていくべきだろう。これは、紛争が始まった段階の急変する戦況での戦闘に集中するのではなく、敵の攻撃を耐え抜き、相手を悩ませ、抵抗することで、短期間で決定的な勝利を相手に与えず、攻撃のリスクとコストを高めるような戦力を前提とする戦略だ。(ヘジンボサム、サミュエルズ)

現在の中国は、朴正煕時代の韓国に重なり合う。習近平は政治改革を拒絶し、国による管理体制を強化し、経済成長の舵取り役を引き続き担っている。だがかつての韓国がそうだったように、現在の中国が「経済開放政策は政治的自由化を招き入れるというルール」の例外のように思えるとしても、実際には政治的自由化に時間がかかっているだけかもしれない。最終的に、中国共産党が必要とする経済成長に必要な措置が、北京が恐れ抵抗している政治的自由化を呼び込むことになるはずだ。(チャイボン)

ごく最近まで米中の経済的つながりは、むしろ、戦略的な不信感がエスカレートするのを抑える効果的なブレーキの役目を果たしてきた。もちろん、中国が(関税引き上げによって)締め付けられることもなく、経済的つながりのためにさらに投資していれば、アメリカにとってさらに大きな課題が作り出されていたかもしれない。だが、相互依存関係の管理にトランプ政権が苛立ち、(現在の路線を続けて)経済・貿易領域で中国を遠ざけていく路線は、(安全保障領域で)さらに厄介な問題を作り出す恐れがある。(ワイン)

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