Focal Points

Wegmann, Ludwig / wikimedia

2018.8.30 Thu

<9月号プレビュー>
中国の未来と韓国の現在
―― なぜ政治的自由化が必然なのか

朴正煕時代の韓国同様に、中国は政治改革なしで経済的自由化を進めることの限界に、まさに直面している。現在の中国は、国の管理に依存した結果、大規模な無駄と過剰生産能力を抱え込んでいる。国有企業は経済成長の大きな足かせとなり、改革が遅れている。中国を待ち受けている道は二つある。今後も経済的成功を可能にする政治の自由化、あるいは、ゆっくりとだが、着実に中国の経済成長を蝕んでいく権威主義への後退だ。朴時代の韓国の教訓とは、経済成長を持続させるには、政治の自由化以外に道はないということだ。(チャイポン)

韓国を新興国と呼ぶのは、もはや時代遅れかもしれない。この国は豊かだし、技術面でも洗練され、イノベーション、経済改革、健全なリーダーシップという面で見事な成果を上げている成熟した民主国家だ。しかし、それでも韓国を先進国市場とみなすのは無理がある。貿易依存度が高く、主要先進国と比べて市場の変動に翻弄される度合いが大きい。さらに、企業部門への集中度が高く、高齢化が進んでいること、そして北朝鮮という政治的に危険な隣国を抱えていることも大きな課題だ。(ノーランド)

近年では、抑圧政権は、経済発展を実現しつつも、民主主義の導入を非常に長い間遅らせることに成功している。例えば、中国は、この年にわたって力強い経済成長を遂げているが、依然として政治的には抑圧体制を温存している。現実には、経済成長によって抑圧政権の寿命は短くなるどころか、むしろ長くなっている。経済成長によって得た資金をバックに、公共交通機関、保健医療サービス、初等教育などの公共財を提供することで市民の満足度を高める一方で、民主化を求める市民の連帯を育む前提である政治的権利、人権、報道の自由を厳格に管理しているからだ。(メスキータ、ダウンズ)

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